2020年07月22日17時49分
【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)各国首脳が開始から90時間超に及んだ「マラソン会議」の末、新型コロナウイルス危機後の欧州経済再建に向けた7500億ユーロ(約92兆円)の対策に合意した。打撃が深刻なイタリアやスペイン救済のため、EUとして巨額資金を借り入れる前例のない措置。欧州統合の歴史上、重要な転換点となりそうだが、代償として亀裂も鮮明となった。
◇「連帯」対「倹約」で火花
「連帯に基づいた再建策は、欧州の歴史的変化だ」。財政統合を推進してきたフランスのマクロン大統領は合意後の21日早朝、ドイツのメルケル首相と臨んだ記者会見で成果を自賛した。
独仏の共同提案を基にした再建策では、欧州委が市場で資金を調達。EU予算の枠組みを通し、補助金か融資で各国に配分する。
これに対し会議では、財政的に余裕があり「倹約」を自称する欧州北部のオランダやオーストリア、デンマーク、スウェーデンの4カ国が支援規模縮小などを強硬に主張。「連帯」による支援を訴えるイタリアやスペインなどの南欧諸国、後押しする独仏などと激しく対立した。
巨額の公的債務を抱える南欧各国の緩慢な財政運営への不信は深く、オランダのルッテ首相は「南欧が他国の支援がいるというなら改革が必要だ」と主張。1カ国でも反対すれば、構造改革が進まない国への支援を停止できる仕組みの導入まで迫った。
欧州メディアによると、昼夜を問わず協議が続く中、3日目にはコンテ伊首相がルッテ氏を「自国で数日間は英雄だろうが、欧州のコロナ対策を阻止した責任を数週間後に問われるぞ」と非難。「倹約4カ国」の譲らない姿勢に業を煮やしたマクロン氏が、拳で机をたたき付け、退席すると脅す場面もあった。
◇独仏で打開、残る火種
もっとも、欧州経済の未曽有の景気後退を前に、首脳らに決裂の余地は乏しかった。最終的には双方が譲歩。原案で5000億ユーロだった補助金額を3900億ユーロに縮小し、返済が必要な融資をその分増やす妥協案で決着した。
コロナ危機当初から難航を極めた巨額支援の合意実現は、ドイツの方針転換が大きい。
ドイツは本来、「倹約」組に近い立場。財政移転につながるユーロ圏の共通予算構想などにも慎重姿勢だった。今回の危機でも、「コロナ債」などと呼ばれた欧州の共通債発行に対しては「借金肩代わり」となることを警戒し、オランダと共に拒否した。
しかし、メルケル氏は5月、再建策の土台となる案をマクロン氏と共同提案。「EU史上最も深刻な危機には適切な対策がいる」と連帯にかじを切った。危機対応でEUの結束が乱れる中、2大国の独仏主導でなんとか瓦解(がかい)を阻止した形だ。
ただ、南北間の経済格差というEUが長年抱える根本問題が解消されたわけではない。
再建策には、ルッテ氏の主張を受け、加盟国が他国の構造改革の進捗(しんちょく)に疑義を示せば支援が一時停止され、加盟国間で協議される仕組みが盛り込まれた。支援の実行段階で再び紛糾する火種が残されている。
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July 22, 2020 at 03:49PM
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EU、「歴史的」合意も亀裂浮き彫り 92兆円再建策、南北格差が影 - 時事通信
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