【ワシントン=白石亘】トランプ米大統領は大統領選の敗北を認めず、法廷闘争を続ける構えを崩していない。ただ不正の証拠を示せず激戦州での得票差も広がり、再集計しても選挙結果を覆せる見込みは薄い。共和党内でもトランプ氏に距離を置く動きが広がり、求心力の陰りは隠せない。
◆公の場には姿見せず
「不正投票が行われたとの供述書がたくさん出てきている」。トランプ氏は8日もツイートを繰り返したが、組織的な不正を裏付ける具体的な証拠は示せないまま。2日続けてゴルフをしたが、8日は会見など公の場に姿を見せなかった。
トランプ陣営は当初、激戦州を接戦に持ち込んだ上で郵便投票の不正を訴え、再集計や訴訟で逆転する作戦を描いた。だが肝心の激戦州で民主党のバイデン前副大統領のリードが広がり、前提が崩れつつある。
◆ペンシルベニアでは差が4万票超に
再選のために落とせない東部ペンシルベニア州でバイデン氏のリードは4万票を超えた。AP通信によると、2000年以降、31州で再集計が行われたが、このうち再集計で選挙結果が変わったのは3州だけ。しかもいずれの州も再集計をする前の得票差は300票未満だったといい、旗色の悪さは隠しようがない。
それでも訴訟を担当するトランプ氏の顧問弁護士ジュリアーニ氏は「最大10州で選挙が盗まれたことを示す強力な証拠がある」と述べ、今週も訴訟を連発する構えだ。だが、すでに5つの激戦州で起こした訴訟は、訴えの大部分が退けられており、認められたのは選挙立会人が開票作業を近くで監視することぐらいだ。
◆共和党内からも「バイデン新大統領」
このため共和党内でも「不正の証拠がなければ、やみくもに支持できない」(クリスティー元ニュージャージー州知事)と距離を置く動きが広がる。ブッシュ元大統領は8日、バイデン氏の勝利を祝福する声明を出し、「バイデン新大統領」が既成事実化しつつある。
8日にはCNNテレビが、メラニア夫人が「敗北を受け入れる時が来た」とトランプ氏に助言していると報じた。陣営幹部はツイッターで「報道は事実ではない」と否定。夫人も報道後に「違法なものを除き、合法的な票はすべて集計されるべきだ」とツイッターに投稿した。
選挙結果を覆せる可能性は極めて低いとの見方が大勢だが、それでもトランプ氏が裁判にしがみつくのは「傷ついた自我をなだめ、まだ戦っている姿勢を忠実な支持者に見せるため」(AP通信)との分析もある。
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