Monday, December 28, 2020

慰安婦合意5年 「不可逆的解決」が骨抜きとは - 読売新聞

 合意の精神を踏みにじる文在寅政権の対応は、不誠実極まりない。日本政府は、国際社会にも理解を広げ、合意が漂流するのを阻止すべきだ。

 日韓両政府が慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年12月の合意から、28日で5年が経過した。形骸化しているのは残念だ。

 当時の安倍首相は、元慰安婦に「心からおわびと反省の気持ち」を表明した。韓国で設立された元慰安婦を支援する財団に10億円を拠出するなど、日本側は誠実に合意を実行に移してきた。

 米国なども合意を高く評価し、元慰安婦の7割以上が財団からの現金支給を受け入れた。

 しかし、合意した朴槿恵前大統領に批判的な文政権は、「合意は被害者の考えを十分に反映していない」として財団を解散した。

 ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦を象徴する少女像についても、解決に努力するという責務を放棄したままだ。

 17年には、慰安婦記念日が設定された。事態を打開する見通しもなく、反日世論をあおるのは、無責任と言わざるを得ない。

 大使館前に少女像を建てた元慰安婦支援団体の元トップが今年9月、寄付金を流用していたとして起訴された。文政権は、反日プロパガンダをまき散らす団体への迎合をやめ、問題を乗り越えていく指導力を発揮してほしい。

 韓国系市民団体が諸外国で少女像を建てる運動をしていることには警戒が必要だ。

 ベルリン市では、中心部の公有地に少女像が設置された。日本大使館の説明でいったんは撤去が決まったが、リベラル系の地元議員が団体側に同調し、撤去の見通しが立たなくなった。

 日本政府は、日韓合意によって外交上の問題が解決され、また、元慰安婦に対して手厚い支援をしてきたことを、粘り強く伝えていかなければならない。

 文政権は、韓国最高裁が元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)への賠償を日本企業に命じた問題でも、打開策を講じていない。

 判決は、請求権問題の解決を定めた1965年の日韓請求権・経済協力協定に明らかに反する。国と国との約束を守らないのなら、外交の停滞は避けられない。

 東アジアの安全保障環境を考えれば、日韓の協力は不可欠だ。米国のバイデン次期大統領は、かつて日韓合意を評価した。改めて理解を求め、日米韓の連携強化につなげることが重要である。

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