75歳以上の医療費の窓口負担見直しをめぐり、菅義偉首相は10日、新たに2割負担となる所得基準について公明党の山口那津男代表と合意したことを明らかにした。双方の主張には溝があったが、互いが譲歩する「痛み分け」。政府と公明は児童手当の縮小問題でも意見が対立していたが、首相と山口氏の合意を機に一気に決着した。
菅首相は、視察先の岩手県宮古市で記者団の取材に「2022年の再来年には団塊の世代が(75歳以上の)後期高齢者になる。我が国の社会保障の将来を考えた時に高齢者、若者、互いに支え合っていくことが極めて大事だと(山口氏と)意見が一致した」と述べた。自民、公明両党の政調会長と田村憲久厚生労働相が、10日に制度の詳細について詰めの作業を行うことも説明した。
所得基準をめぐっては、対象者をより広くとって「単身世帯の年金収入で170万円以上」(対象人数約520万人)を主張する政府と、対象者がより少ない「240万円以上」(同約200万人)を求める公明が対立。政府内では、何より菅首相本人が「170万円以上」に強くこだわった。自公の政調会長間で協議が続いたが、「膠着(こうちゃく)状態」(公明の竹内譲政調会長)に陥っていた。
「公明党が案を出してくれれば、自民も乗る」。与党幹部によると、自民の下村博文政調会長は竹内氏に対し、こんな提案したという。公明は当初、コロナ禍での負担増は次期衆院選などに影響するとして議論の「先送り」を主張していたが、下村氏の提案を受けて竹内氏は「240万円以上」を提示した。だが、その後下村氏は「首相の意向は固い」などと繰り返し、田村厚労相も交えた議論は平行線が続いた。
これを受け、トップ同士が会談しなければ収拾できない事態に発展。首相は9日夜、自らと山口氏が直接協議する異例のトップ会談を行い、互いの主張の間を取り、「200万円以上」で合意した。
会談、切り出した首相
山口氏は10日の同党会合で「…
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