電通グループ子会社のカローゼット(東京・港)は、2021年1月12日から新サービス「Rentastic!(レンタスティック)」の提供を始めた。特定のコミュニティー内で個人が所有する資産を無償で貸し借りできるWebサービスだ。コロナ禍で社員間のコミュニケーション不足に悩む企業の福利厚生として、また住民間のぬくもりある暮らしをサポートしたい不動産会社の一手として、期待が集まる。
「Rentastic!(レンタスティック)」は、カローゼットと契約する特定の街やマンションの住民同士、同じく契約企業の社員同士で、家電や生活雑貨などを無償で貸し借りできるサービス。個々の会員が保有するアイテムを他のユーザーに1日貸すと「1Renta!」が付与され、それを使って別のユーザーのアイテムを1日無料で借りられるユニークな仕組みだ。
例えば、普段、自宅の物置で眠っているスーツケースを他のユーザーに7日間貸し出し、そこで得た7Renta!を使って、今度は自分がロボット掃除機や高圧洗浄機を借りるといった利用イメージだ。借りる側にとっては、購入を検討している高額家電などの事前テスト、あるいは購入するほどではないが、たまに使ってみたいアイテムの利用に向く。
実際、コロナ禍で家庭料理を楽しむ人が増えている中で、「ホームベーカリーを借りて家族で焼きたてパンを作ったり、ちょっとマニアックな薫製機や低温調理器を試したり、レンタスティックでの貸し借りを通じて週末の楽しみ方の幅が広がっている」(カローゼット社長の内藤丈裕氏)という。自分が使っていないものが誰かの役に立つ、そうしてコミュニティーに貢献(貸し出し)した分だけ自分も便益(レンタル)を享受できるという、独自の「相互扶助モデル」がレンタスティックの最大の特徴だ。
これまでも個人間のレンタルを可能にするC to Cのサービスは存在していた。それに対してレンタスティックの場合、貸し借り自体は個人間で行うが、ビジネスモデルにあえてコミュニティーオーナー(導入企業や街)を組み込んだB to B to Cの形態を取る。オーナーがカローゼットに対してシステム利用料(ユーザー1人当たり月額300円が目安)を支払うか、参加する個人が月額使用料を負担する形で、いずれにしろ個人間の貸し借りは無償で行える仕組みとなっている。
また、特定のコミュニティーごとに閉じた設計だから、貸し出したアイテムの紛失や連絡の不具合など、従来の個人間レンタルサービスにまつわる利用時の不安感も解消される。カローゼットは三井住友海上火災保険と専用保険も共同開発。借りたアイテムの破損や盗難などに対応する年間最大10万円の損害保険を全ユーザーに自動付帯しており、こちらも利用者の安心感につながっている。
企業の福利厚生、まちづくりで注目
サービス開始当初からの導入企業としては、電通グループを含めた5社程度が参画している。コロナ禍でテレワークの機会が増え、社員間のコミュニケーション不足、帰属意識の低下が新たな企業課題となる中、福利厚生の一環としてレンタスティックが評価されているのだ。貸し出し可能なアイテムをレンタスティック上で披露すれば、個々の趣味嗜好が推し量れるし、実際の貸し借りを通じて社員同士のプライベートなやり取りが生まれる。また、購入するより経済的な負担も抑えられるから、社員の財布にも優しいというわけだ。
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