Tuesday, May 25, 2021

配信者向け神デバイス! AVerMedia「Live Streamer NEXUS」徹底活用講座 - PC Watch

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AVerMedia「Live Streamer NEXUS」

Live Streamer NEXUSってどんな製品?

 映像キャプチャデバイスで定評のあるAVerMediaから、新製品「Live Streamer NEXUS」(以下、NEXUS)が発売された。本製品は、多種多様な「配信でこんなことできたらいいのにな」を実現する、言わば配信者にとっての“神デバイス”と言っても過言ではない。ただ、あまりに機能が豊富なため、返ってこの製品でどんなことができるのかが分かりにくかったり、設定につまずくことも考えられる。

 そこで本稿では、NEXUSの基本的なセットアップ方法から、具体的な使い方などを提案していく。また、インプレスeスポーツ部の定期配信にも出演しているストリートファイターV世界覇者のガチくんにも使ってもらい、その感想などを聞いた。

 NEXUSを導入することで、ユーザーは

  1. 音声の品質を上げる
  2. 即座かつ柔軟に音声とゲーム音などのバランスを変更する
  3. 配信レイアウトをワンタッチで切り替える
  4. 高度な配信操作をディスプレイ1台環境でも実現する

といったことができるようになる。

 いずれの項目も、配信者にとって価値が高いもので、NEXUSは、それをコンパクトな本体で実現している。

 前述のとおり、NEXUSは非常に多機能な製品だが、一言で書くなら「オーディオインターフェイス兼マクロ操作機」となる。オーディオインターフェイス部に関しては、XLR端子を備えており、高品位なオーディオグレードのマイクをPCで使えるようになる。ファンタム電源(+48V)にも対応しており、コンデンサマイクも使える。また、音声のミキシングについても強力な機能を持つ。

 もう1つのマクロ操作部については、ハードウェアボタンとタッチパネルを備え、配信ソフトなどの操作をキーボードやマウスを使わずに行なうことができる。

左上にタッチパネル、右上にハードウェアボタン、下部に音量調節ノブを装備

 これまでも、柔軟なミキシングが可能なオーディオインターフェイスや、マクロ操作部の機能を持つ製品はいくつか存在していた。しかし、この両方の機能を兼ね備える製品は、筆者が知る限りNEXUSのみだ。また、NEXUSの実売価格は4万円前後と、それぞれを別に買うより安くなっている。では、本製品の主要機能、目玉機能を見ていこう。

マイク周りもコンプレッサーやイコライザーなど定番機能を搭載

 NEXUSをセットアップしたら、まずマイク周りの設定を行なおう。NEXUSソフトで、「MIC」ノブをクリックすると、マイクの出力レベル、ゲイン調整とマイクの種類の選択ができる。「MIC」の右にあるマイクアイコンをクリックするとミュートのオン/オフを、ヘッドフォンのアイコンをクリックすると、モニターのオン/オフを切り替えられる。筆者の場合、自分の声もモニタリングしていないとやりづらいのだが、自分の声をヘッドフォンから聴きたくない人は、ここでモニターをオフにできる。

赤枠部分のMICの右にあるアイコンでミュートとモニタリングのオン/オフを切り替え可能

 また、マイク入力に対して、ノイズゲート、コンプレッサー、イコライザーといった定番の調整のほか、エコーとリバーブをかけることもできる。さらに、EQUALIZERの右上にある「…」をクリックすると、それらの詳細を設定できる。

マイク入力に対して、ノイズゲート、コンプレッサー、イコライザーをかけられる

 ノイズゲートをオンにすると、エアコンやファンノイズなど小さめの環境ノイズを消すことができる。ただし、ノイズゲートは、「Threshold」で設定した音量より小さな音を強制的にカットするので、Threshold以下の音量でしゃべると自分の声までカットされてしまう。そのあたりはThresholdをうまく調節しよう。

ノイズゲートの設定

 コンプレッサーはオンにしたほうがいい。これにより、大きな声で叫んでもクリップ(割れる)しにくくなり、同時に小さめの声の音量を引き上げてくれるので、声が聞きやすくなる。

コンプレッサーの設定

 イコライザーもオンにしたほうがいい。利用者の声質などで変わってくる部分はあるが、大雑把な基本としては、人の声の帯域であるMid(中域)を気持ち持ち上げ、Bass(低域)とTreble(広域)は抑えると通りが良くなる。

イコライザーの設定

 これらは、細かい話をすると、それだけで1記事できるほどになるので、検索するなどして、一般的な設定を学んだ上で、自分の声や環境に応じた設定にしてほしい。

 エコーとリバーブについては、普通の配信ではあまり使うことはないだろうが、おもしろい機能だ。

エコーの設定
リバーブの設定

マイク、ゲーム、システムなどの音声を個別に設定/制御可能

NEXUS本体下部の各ノブでチャンネルごとの音量を調節できる

 NEXUSの本体の下部分には、「MIC」、「LINE IN」、「CONSOLE」、「SYSTEM」、「GAME」、「CHAT」と書かれたノブがあり、これらの音量を個別に調節できる。CONSOLEはS/PDIF入力のことを指し、ゲーム機の音声をS/PDIFで取り込むときに使う。

 ゲーム配信をしていると、ゲームとマイクの音量バランスを調整したいことが頻繁にある。NEXUSがない場合だと、ゲーム音は、ゲームのメニューを開いて調整する必要があり、マイク音量は配信ソフト側で調整することになる。しかし、NEXUSなら、ゲームや配信ソフトをいじることなく、さっと手元でMICやGAMEのノブを回すことで個別に調整ができるのだ。

 また、ボイスチャットを繋ぎながら友達とオンラインでプレイしているところを配信することもあるだろう。そういった場合にも、ちょっと友達の音量が大きいな、あるいは小さいなと思ったら、CHATノブを回して調整できる。

 それぞれの音量は、各ノブの周囲に配置された10個のLEDで10段階で確認できる。また、NEXUSソフトの設定の「デバイス」タブの「音量インジケーター」の「ピークモード」を「オン」にすると、LEDが音量の出力レベルではなく、声やゲーム音などの入力レベルを示すようになるので、声よりゲーム音が大きい、あるいはきちんと各トラックに入力がなされているか、と言ったことが目視で判断できるようになる。

 そして、この音量ノブは、回すだけでなく、押し込むこともでき、押し込む度にミュートがオン/オフされるのだ。くしゃみが出そう、電話がかかってきたといった時に、MICノブを押し込めば、すぐミュートできるという具合だ。

 フルスクリーン表示されているゲームの場合、配信ソフトやボイスチャットソフトをいじると、ゲームがバックグラウンドになり、配信ソフトでゲーム画面キャプチャができなくなり、一時的に配信上でゲーム画面が止まったり、消えることもある。NEXUSを使えば、そういう問題も起こらなくなる。

 配信をしている人なら、これだけ聞いても、「あ、これ買いたい」と思うのではないだろうか?

 なお、この音声ミキサー機能を活用するには、事前に各ソフトに応じた設定を行なっておく必要がある。ゲームについては、Windows 10通知領域のスピーカーアイコンを右クリックして、サウンドの設定を選び、「アプリの音量とデバイスの設定」を開く。ゲームを起動して音が鳴っていれば、ここにそのゲームが表示されているので、そのゲームの出力(上側)を「既定」から「Game (Live Streamer NEXUS)」に変更する。これで、そのゲームの音声トラックは、NEXUSの「GAME」に割り当てられる。これは、ゲームごとに設定する。

どのアプリが「GAME」に該当するのかなどは、Windowsのサウンドの設定で個別に指定しておく

 ボイスチャットについては、たとえばDiscordなら、「設定」→「音声・ビデオ」で音声設定の「出力デバイス」を「Chat (Live Streamer NEXUS)」に指定することで、NEXUSの「CHAT」に割り当てられ、CHATノブで音量を調整できるようになる。

配信者が聞く音量と、視聴者が聞く音量を個別に調整可能

 さらに配信者を唸らせるのが、配信者が聞く音量と、視聴者が聞く音量を個別に調整可能という点だ。標準では、「Single Mix」状態だが、NEXUSソフトで「MIC」ノブなどをクリックし、左ペインを「Audio Mixer」にした状態で、その横の「…」をクリックすると、「Dual Mix」に切り替えられる。

 Dual Mixでは、左ペインにMICやGAMEなどが、「Creator Mix」と「Audience Mix」の2系統分表示される。Creator Mixは、ヘッドフォン出力から配信者が聞く音量で、Audience Mixは、実際に配信に乗せる(視聴者が聞く)音量となる。

Dual Mixにすると、「Creator Mix」と「Audience Mix」の2系統を個別に音量設定できる

 例えば、自分はゲーム音をなるべく大きく聞きたいが、配信では自分の声より小さくしたい場合、Creator MixのGAMEは大きめにし、Audience MixのGAMEは小さくすればいい。この機能が切実に欲しい配信者も少なくないだろう。

 Audience Mixを配信に乗せるには、OBSの場合、「設定」で「音声」→「グローバル音声デバイス」→「マイク音声」に「Audience Mix (Live Streamer NEXUS)」を指定する。

 また、このDual Mixはほかにも活用法がある。例えば筆者は、NEXUSのマイク入力をNVIDIA Broadcastに渡して環境ノイズを削除し、自分の音声もヘッドフォンでモニタリングしたいので、OBSの音声入力ソースにNVIDIA Broadcastを追加している。これだと、マイクから入った音声と、NVIDIA Broadcastで処理された音声が同時に出力されてしまう。そこで、NEXUSソフトのAudience Mix側でマイクをミュートにしておけば、NVIDIA Broadcastでノイズキャンセルされたマイク音のみが流れるようになる。

 ちなみにマイクのモニタリングについては、NVIDIA Broadcastで処理された音声は0.2秒ほど遅れるので、Creator Mixのマイクをモニターし、NVIDIA Broadcastはモニターしない方がいい。

 このほかにも、LINEやDiscordなどの着信音は配信に乗せたくない場合も、Audience MixのSYSTEMをミュートしておけば、Creator Mixを聞いている自分にだけ着信音が聞こえるようになる。

タッチパネルとボタンでシーン切り替えなどのマクロ操作

 続いて、NEXUSのマクロ操作関係について説明しよう。本製品は5型のタッチパネルを装備しており、NEXUSソフトを使って、マクロ操作のアイコンを配置し、配信関連の各種操作をNEXUS上でできる。ネイティブで対応する配信ソフトは、「OBS」と「Streamlabs OBS」、「RECentral」の3つだ。

 OBSと連携させるにあたっては、「obs-websocket」というプラグインをインストールし、NEXUSソフトの「設定」→「アカウント」タブで「+」をクリックし、「OBS Websockets」を選択する。Websocketのポート設定はデフォルトのままでいいが、パスワードは指定した方がいい。

obs-websocketをインストールしないで、OBSのホットキーをNEXUSに登録すると、インストールするよう促される
「設定」→「アカウント」タブで「+」をクリックし、「OBS Websockets」を選択する
OBS WebSocketsサーバー設定ではポートとパスワードを指定。これはOBS側の設定とあわせる

 これで、OBSの「シーンの選択」、「音声ミュート」、「録画開始/停止」、「配信開始/停止」、「ソースのオン/オフ」をNEXUSのタッチパネルから行なえるようになる。NEXUSソフトのタッチパネル部分をクリックして、左ペイン部分の「Hotkeys & Widgets」から、必要なマクロアイコンをタッチパネルのところにドラッグ&ドロップしよう。タッチパネルは、5×4で計20個のマクロボタンを設置できるので、シーンが複数ある場合も、1画面内に設置できる。

左ペイン部分の「Hotkeys & Widgets」から、OBSの「シーンの選択」、「音声ミュート」、「録画開始/停止」、「配信開始/停止」、「ソースのオン/オフ」ホットキーボタンをタッチパネルにドラッグ&ドロップできる

 特にシーンの選択については、カメラ映像のみ、ゲーム映像のみ、ゲーム映像+カメラのワイプ映像など、複数のシーンを配信ソフトで作っている場合、配信中にその選択操作を行なうことになる。この時も、NEXUSがあれば、ゲームをバックグラウンドにさせることなく、手元で切り替えができるようになる。

 ちなみに、各マクロアイコンは、設置した際に、アイコンのグラフィックとテキストがセットで表示されるが、シーンマクロについては、デフォルトで「Scene」というテキストになっている。また、シーンマクロは、選択時と非選択時が分かるように、アイコンもテキストも変わるようになっている。それぞれのテキストをシーン名に応じたものに変えておこう。

シーンの選択ホットキーは、選択時(アイコンの下の左側の黄色が点灯)と
非選択時(アイコンの下の右側の黄色が点灯)で個別に名前をつける

 NEXUSソフトに標準で用意されているOBSのマクロ機能はこれだけだが、OBSは、さまざまな操作にマクロ(ホットキー)を割り当てられる。また、NEXUSソフトにはいつでも使える「ホットキー」マクロも用意されている。これにより、OBS用マクロとして用意されていない機能も、OBSでホットキー割り当てを行なっておくことで、それらをNEXUSからワンタッチで実行できる。

 例えば、筆者の場合、OBSでリプレイバッファを有効にして、リプレイを保存できるようにしている。また、そのリプレイを再生するシーンも用意している。NEXUSを使うと、リプレイ保存のマクロを実行して、リプレイ再生シーンへの切り替えマクロを実行することで、スポーツ番組さながらのインスタントリプレイ再生ができる。

 このホットキーマクロはもちろんOBSだけでなく、あらゆるソフトで利用できる。例えば、Discordでマイクミュートやスピーカーミュートのホットキーを設定しておけば、頻繁にミュート操作を行なう「Among Us」などをプレイしているときに、Discordを操作することなく、ワンタッチで切り替えできる。ただし、その場合、アクティブになっているアプリ(大体はゲームだろう)で、使われていないホットキーにしておかないと、誤動作してしまう。

Discordの「キー割り当て」で、「ミュート切り替え」と「スピーカーミュート切り替え」にキー割り当てを行ない、NEXUS側でもそのホットキーマクロを作成しておけば、ワンタッチでその操作ができる

TwitchとYouTubeの視聴者数やコメントも表示可能で、セカンダリディスプレイいらずに

 また、TwitchとYouTubeについては、タッチパネル上に視聴者数やコメントを表示するウィジェットも設置できる。生配信では、視聴者のコメントへの反応が不可欠で、コメントをいつでも見られるよう、セカンダリディスプレイを用意したり、自分の視聴をスマホで見たりしていることだろう。

 しかし、NEXUSがあれば、配信ソフトやボイスチャットソフトの各種操作に加え、視聴者数やコメント数までも確認できるため、セカンダリディスプレイがなくても、不自由なく配信できるようになる。NEXUSはコンパクトなので、PCデスクが狭くて、2台目のディスプレイを置けないという人にもありがたい存在だ。

 ちなみに、コメントウィジェットは、タッチパネルで2×3マスを占有するので、設置できるマクロがその分減ってしまう。しかし、タッチパネルは左右にスワイプすることで、計5画面分まで設定できる。つまり、最大で5×4×5で100アイコン分のスペースがある。個人で使ってこれで不足することはまずないだろう。なお、タッチパネルを上にスワイプすると、どこからでもホーム画面に戻れる。

Twitchのコメントウィジェットを表示させたところ

 このほか、便利なマクロ/ウィジェットとして、現在の音量設定を一覧できる「ミキサーダッシュボード」、「モニター」、「ミックス切り替え」などがある。ミキサーダッシュボードウィジェットを設置すると、Creator MixとAudience Mixそれぞれの現在の音量設定状態を閲覧できる。モニターは、ヘッドフォンモニターのオン/オフ、ミックス切り替えは、NEXUS本体のノブで操作するのをCreator Mixにするのか、Audience Mixにするのかを切り替えできる。

 そして、本体右上に4つあるハードウェアボタン。これもタッチパネルと同様にマクロ機能を割り当てられる。ただし、LEDで色は変えられるがアイコンは表示できないので、ミュート機能など状態を視覚的に確認したい機能には使いにくい。ハードウェアボタンで便利そうな機能としては、「サウンド再生」がある。ボタン押下で任意のオーディオファイルを再生できるので、効果音などを鳴らすようにしておくと、ここぞという場面で使って、配信を盛り上げられる。

 ちなみに、タッチパネルの背景部分や各種アイコンは自由に画像を表示できるので、「痛仕様」にしたりもできる。

プロゲーマー、ガチくんにも使ってもらった

 本製品をレッドブル・アスリートでプロゲーマーのガチくんにも使ってもらった。ガチくんは、個人でも自宅から配信を行なっており、弊誌の企画を通じ、豪華な配信環境を活用している。

レッドブル・アスリートのガチくん

ガチくんのコメント

 僕は自宅配信でいろいろなゲームをプレイするんですが、ゲームが変わると音量も変わって、視聴者の方からゲーム音が大きいよとか小さいよとか言われることがしょっちゅうあり、その度にゲームの設定をいじったりして面倒だったんですが、NEXUSなら手元ですぐ変更できるのが便利ですね。

 Discordでほかの配信者とボイスチャットを繋ぎながらゲームすることもあって、その際にNEXUSだとボイスチャット音声だけを個別に調整できるのも素晴らしいと思います。

 配信中にカメラだけの映像にしたり、ゲーム+ワイプにしたりすることも多いんですが、それもこのNEXUSでできるというのが驚きでした。しかも、タッチパネルをタッチするだけなんで、分かりやすくて簡単ですよね。これなら僕みたいに、あまりPC操作が得意でない人にもスマホ感覚で使いやすいです。

配信者が欲しい機能が凝縮された1台

 と言うことで、本稿では筆者がこれは便利と思った機能に焦点を絞って解説した。ここでは紹介しきれなかった機能もあるし、今後ソフトのアップデートで、ほかのアプリともネイティブで連携できるようになったりもしていくだろう。現時点でも十分すぎる機能を持つが、今後にも期待ができる。

 オーディオのルーティングや各種マクロ機能など、使いこなしによって幅も広がっていく製品だ。個人からビジネスでの配信まで、より効率的あるいはより便利にオペレーションしたい人には必携のデバイスと言える。

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