Saturday, July 17, 2021

核合意再建、8月以降に イラン政権交代で戦略変更も - 時事通信ニュース

2021年07月18日07時14分

イランのライシ次期大統領=6月21日、テヘラン(EPA時事)

イランのライシ次期大統領=6月21日、テヘラン(EPA時事)

 【カイロ時事】イラン核合意の再建に向けて米国やイランなどが進めてきた協議は、次回会合のめどが立たない状況となっている。イランでは8月初旬に反米保守強硬派のライシ次期大統領が就任予定。政権交代を機に有利な条件を引き出そうと、イラン側が強硬派主導で交渉戦略を練り直しているとみられ、8月以降にずれ込む公算が大きい協議の方向性は不透明感を増している。
 協議は4月上旬から、イランと合意当事国の英仏独中ロ、欧州連合(EU)などが参加してウィーンで断続的に実施。合意を離脱した米国による対イラン制裁解除とイランの核開発制限順守を目指した米・イラン間接協議も行われた。見解の相違は残るものの、6月下旬の時点で「妥結は近い」(EU高官)とみられていた。
 ただ、イラン大統領選で強硬派が勝利したことで風向きが変わった。ライシ師は合意立て直しを支持する立場だが、「交渉のための交渉はしない。結果を出す必要がある」と米国をけん制。穏健派ロウハニ現政権の対応に反発し、これまでの交渉で積み重ねてきた一致点を不十分と見なしている可能性もある。「(ロウハニ師が退任する)8月初旬までに何らかの合意に達し、新政権はその果実を取る」(在イラン邦人関係者)との大方の予想は覆された形だ。
 ロウハニ師は14日の閣議で「次の政府が作業を完了できるよう望む」と述べ、自身の任期満了前の妥結断念を表明。ロイター通信は、イランが間接協議を仲介する欧州側に新政権発足前の交渉再開の準備が整っていないと既に通告したと報じ、「恐らく8月中旬までは行われない」とする外交筋の話を伝えた。
 一方、米国務省報道官は14日、早期の交渉再開の必要性を強調した上で、「イランは難しい政治決断を下さねばならない」と善処を促した。

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