「過去1世紀で、最も重要な国際的課税の合意である」とする声がある。 経済協力開発機構(OECD)が、巨大IT企業などを念頭に置いたデジタル課税と、各国共通の最低法人税率を導入する国際的な課税強化を行うことで、大枠合意した。 これを受けて、日米欧の先進7カ国(G7)と、中国や新興国を含む20カ国・地域(G20)は、承認に向けた調整に入り、2023年の実施を目指すという。 巨大IT企業などの税逃れと、企業誘致を目的とした法人税の引き下げ競争は、世界各国の財政当局が歯止めをかけたい問題だ。労働者や中間層も、強い不公平感を抱いている。 OECDでは、12年に協議を始め、ようやく今回の大枠合意にこぎ着けた。これをてこに、公正な国際法人税制の確立を、急ぐべきである。 最低法人税率は、少なくとも15%以上とすることが、先月開かれたG7の財務相会合でも、合意に至った。 新型コロナウイルス対策に伴う歳出の拡大で、各国とも財政が悪化しており、引き下げ競争をする余裕がなくなってきたのも、その背景にありそうだ。 一方、デジタル課税の導入は、グーグルやアップルなど「GAFA」と呼ばれる米国の巨大IT企業への課税が、十分ではないとする認識が根本にある。 英国やフランスは、米国の意に反して、すでに独自のデジタル課税を行っており、導入を巡って先進国間でも対立がみられる。 大枠合意では、全世界での売上高が約2兆6千億円を超え、売上高に占める利益の割合が10%超の多国籍企業100社程度を対象とする。 ただ、利益率が10%を超える部分の2~3割を、各国での売上高に応じて配分するというが、具体的に、どれくらいの額となるのかなど不透明な点が残っている。 実施には、多国間条約の締結や各国の国内法改正が必要となり、OECDの交渉に参加する139カ国・地域それぞれの事情が影響する。今後の曲折も予想されよう。 とはいえ、デジタル課税は、国内に本社や工場などの拠点がなくても、サービスの利用者が存在すれば、各国が税収を得られる公平な仕組みといえる。 大枠合意では先送りにした課題を乗り越えて、最終合意してもらいたい。
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