ミャンマーのチョー・モー・トゥン国連大使が27日、産経新聞のインタビューに応じ、国連総会で一般討論演説を見送った背景には、演説を控える代わりに民主派の国連大使の地位を保つという米国と中国の合意があったことを大筋で認めた。その上で、来年9月まで1年間続く会期中には「ミャンマーの人たちのために発言する機会は多くあるだろう」との認識を示した。
チョー・モー・トゥン氏は昨年10月、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)政権に任命され、今年2月に国軍がクーデターを起こした後の国連総会非公式会合で、国軍を批判する演説を行った。一方、国軍は同氏の解任を発表し、退役軍人のアウン・トゥレイン氏を後任に指名しており、国連でのミャンマー代表権の帰属は11月の信任状委員会で米中露など9カ国により協議されることになっている。
こうした中、外交専門誌フォーリン・ポリシーは13日、米国と国軍の後ろ盾である中国の間で、チョー・モー・トゥン氏を当面、国連大使として認める代わりに同氏が演説を見送る合意がなされたと報道。同氏は「報道の大部分と私の理解は同じだ」と語った。
一方で演説見送りは「長い目で見ればミャンマーの人たちの声を世界に届ける機会を失ったことにはならない」と強調。「来年9月までの会期中には委員会などさまざまな会合と多くの発言の機会がある」とし、国連大使として再承認されることへの自信をみせた。
ミャンマーでは抵抗する市民への武力弾圧が続いており、現地の人権団体「政治犯支援協会」によるとクーデター発生以来1136人が死亡。同氏は民主的な国家を取り戻すため「国際社会の助力が必要だ」と訴え、日本政府に「国軍を承認せず、投資を通じて国軍へ資金が流入しないようにしてほしい」と要望した。
同氏によると、現地では空爆による市民への無差別攻撃のほか、連座制を適用した政治犯の家族の拘束、公衆の面前での拷問など「国軍や治安部隊による不法行為」が横行している。
民主派が発足させた「挙国一致政府(NUG)」は今月7日、国軍に抵抗する「防衛戦」を開始。支援者の間に「民主派は平和的な抵抗をやめたのか」との疑念も広がる。同氏は、防衛戦を「犠牲者を減らすためのやむを得ない抵抗だ」とした上で、「平和的なデモによる抗議や医療従事者の市民不服従運動は今も続いている」と理解を求めた。(ニューヨーク 平田雄介)
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