Thursday, October 21, 2021

あの“ガチ過ぎる”PCスピーカー、ついに異次元へ。クリプトン「KS-55Hyper」 - AV Watch

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KS-55Hyper

「部屋で音楽や映画、YouTubeなどをいい音で楽しみたい」という人は多い。「でも、大きなアンプやスピーカーを置く場所がない」という人も、同じくらい多いだろう。そんな人への“救世主”的なスピーカーとして人気なのが、クリプトンの「KS-55」(ケーエス ダブルファイブ)。AV Watch読者なら写真を見れば「ああ! このスピーカーか!」と思うはず。

だが、ちょっと待って欲しい。冒頭に掲載した写真は「KS-55」とソックリだが、KS-55ではない。55の上位機種、その名も「KS-55Hyper」という新製品だ。「外観は同じで、中身がちょっと変わったマイナーチェンジモデル?」と思ったかも知れない。ぶっちゃけ筆者もそう思った。だが、音が出た瞬間に思わず「なんだこれは」とぶったまげるほど、まるで違う製品に進化している。結論から先に言えば、これは“羊の皮をかぶった狼スピーカー”だ。

KS-55/KS-55Hyper

いきなり「KS-55を知っている事」を前提に書きはじめてしまったが、基本的なところをおさらいしよう。KS-55やKS-55Hyperは、一見すると、昔よくあった“パソコン用高級アクティブスピーカー”に見える。

確かに、USB入力やステレオミニのアナログ入力も備えているのでPCスピーカーとしても使えるが、機能はそれだけではない。光デジタル入力も備え、例えばテレビやCDプレーヤー、ゲーム機とも接続できる。また、Bluetooth受信も可能で、スマホからワイヤレスで飛ばした音楽を、KS-55/KS-55Hyperだけで再生する事も可能だ。要するにスピーカーというよりも、“コンパクトなオーディオシステム”のような製品だ。

右チャンネルの背面。USB-B、ステレオミニのアナログ入力、光デジタル入力も備えている

“オーディオシステム”と書いたが、もう1つの特徴が、この製品を開発したのが、バリバリのピュアオーディオメーカー、クリプトンである事。上は約100万円のフロア型スピーカーまで手掛け、オーディオボードやオーディオ電源などのアクセサリーも開発している同社が、“安くて小さくて音が鳴ればいい”存在だったPCスピーカー市場に参入。ピュアオーディオの技術をふんだんに注ぎ込んで、“小さなオーディオスピーカー”としてガチで作ったのが、KS-55やKS-55Hyperというわけだ。

そのガチっぷりは、ある意味「そこまでやるか」というレベルで、まず筐体からしてアルミの押し出しで作られている。触ると質感最高、叩いてもビクともしない剛性の高さ。ひっくり返すと、底部には高級オーディオボードにも使われている「ネオフェード カーボンマトリックス三層材」という、これまた超高級素材をインシュレーターに使うなど、「これいくらするの?」と心配になるこだわりぶりだ。

なんと筐体はアルミの押し出しで作られている
超本格的なインシュレーターも装備

気になる価格(ペア)は、KS-55が92,500円なのに対し、KS-55HyperはちょっとUPした99,800円で、それでも10万円を切っている。PCスピーカーとして見ると高価だが、アンプやDAC、Bluetoothレシーバー内蔵、本格的なインシュレーターもセットになった小型オーディオスピーカーと考えると安いという、非常にユニークな製品だ。

ちなみに、販路は直販サイトのみだ。理由は“お店で販売すると、この価格は実現不可能”なため。ギリギリ頑張ってなんとか10万円以下にしている。「将来のピュアオーディオファンを増やすための先行投資」的な側面も持ったスピーカーというわけだ。

似ているけれど、中身がまるで違うKS-55Hyper

新機種のKS-55Hyperに話を戻そう。前述の通り、外観やサイズに違いはない。109×203.4×159.5mm(幅×奥行き×高さ)で、片手でガッとつかんで持ち運べるサイズ感だ。重量は右スピーカーが約2kg、左が約1.9kgとなっている。

片手でも持ち運べるサイズ感

筐体はタマゴの断面を連想させる、オーバル・ラウンドフォルムデザイン。オールアルミ製で角張っていないため、回折効果で音の反射を低減。筐体内部に並行な面が無いのもポイントで、内部で定在波が発生しにくい形状でもある。背面には、フォールデッドダクトによるリアバスレフポートを搭載。低域再生能力を増強する事で、小型のデメリットをカバーしているわけだ。

タマゴの断面のような形状。筐体内部に並行な面が無く、内部で定在波が発生しにくい形状

搭載ユニットもKS-55と同じ。ハイレゾ用に開発された、60kHzまで再生できる30mmリングダイアフラム・ツイーターと、63.5mm径のウーファーを搭載した2ウェイだ。このユニットもこだわりのチョイスで、オーディオ用スピーカーユニットで知られる、デンマークのTymphany製のものだ。全体の周波数特性は70Hz~60kHz、クロスオーバー周波数は1,200Hzとなっている。

ツイーターとウーファーユニットは、どちらも音質に定評のあるデンマーク・Tymphany製のもの

KS-55Hyperが面白いのはここからだ。KS-55/KS-55Hyperは、ツイーターとウーファーをそれぞれ個別のデジタルアンプでドライブする“バイアンプ駆動”というリッチな仕様になっている。こうする事で、ウーファーが振幅して発生した逆起電力が、ツイーターに流入して音を劣化させるのを防げる。

さらに、DDC(Digital to Digital Convertor)とDSP(Digital Signal Processor)を搭載しており、USBや光デジタル経由で入力されたデジタル信号をDSPで処理し、デジタルのクロスオーバーネットワークでツイーター用、ウーファー用に分割した後、そのままデジタルアンプにダイレクトに直結させている。つまり、入ってきたデジタル信号をデジタルのまま処理・増幅し、ユニットの直前までデジタルのまま伝送する。アナログへの変換ロスを限界まで少なくしているというわけだ。

KS-55Hyperでは、このデジタルアンプが大幅に強化された。出力電圧が従来の12Vから24Vにアップし、KS-55が25W×4で総合100Wの出力だったところ、KS-55Hyperは35W×4の総合140Wへとパワーアップしている。これにより、「小型サイズを維持しながら、大型スピーカーのような雰囲気のサウンドが再生できるようになった」という。

もう1つ注目点がある。KS-55はリニアPCM 192kHz/24bitまでしか対応していなかったが、KS-55Hyperは新たにDSD用DACを追加。DSD 5.6MHzまでダイレクトに再生できるようになった。これに合わせて、フロントパネルにインジケーターも追加。PCMの場合は緑に、DSDの場合はオレンジに光るようになり、いま、何の音声フォーマットを再生しているかわかりやすくなっている。

上段のインジケーターに注目。PCMの場合は緑に、DSDの場合はオレンジに光る

進化は内部にとどまらない。前述の通り、KS-55は専用形状のオーディオボードを同梱しているが、KS-55Hyperではこの特徴を維持しつつ、使い勝手をアップさせるため、3点支持の滑り止め搭載インシュレーターを底部に装着するカタチになった。

KS-55は、インシュレーターを埋め込んだ専用形状のオーディオボードが付属している
KS-55Hyperのインシュレーターは直接装着されているタイプになった

インシュレーターに使っている素材は、クリプトンのピュアオーディオ用オーディオボードで使っているものと同じ「ネオフェード・カーボンマトリクス三層材」だ。ネオフェードには、振動エネルギーを吸収して熱エネルギーに変える効果がある。これを、2枚のCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)の板でサンドイッチしたのが三層材。つまり、上に乗せたスピーカーの振動を、ネオフェードが熱に変えて、下のCFRPや、その下にある机などに振動を伝えない。

ネオフェード・カーボンマトリクス三層材の断面。中央のネオフェードを、2枚のCFRPでサンドイッチしているのがわかる

机に振動が伝わってしまうと、当然ながらそこから音が出る。スピーカーからの音だけを聴きたいのに、違う場所から出た音も一緒に聴いてしまう事になり、“音が濁る”わけだ。普通はそうなった時に対策としてインシュレーターを買ってくるわけだが、KS-55Hyperにはそれが最初から取り付けられているというわけだ。

KS-55Hyperでは、このネオフェード・カーボンマトリクス三層材を丸く加工し、外周を滑り止めのOリングで囲んでいる。こうする事で、スピーカーが簡単に動いてしまわないよう、滑り止めの役割も果たしている。

個人的に「これはいい!」と感じるのは、このインシュレーターが底面に最初から固定されている事。“オーディオボードの上にスピーカーを乗せる”という設置作業も、“オーディオ趣味を楽しんでる”感があって悪くないのだが、そのままだと、例えばノートパソコンの電源ケーブルに足を引っ掛けて、そのケーブルがスピーカーに当たったとか、なにかの衝撃でスピーカーとボードがズレてしまう。

また、書斎で使っていたスピーカーを、リビングのテレビまで運んで楽しむような時でも、オーディオボードとスピーカーが分離すると持ち運びにくい。KS-55Hyperは設置安定性がアップすると共に、“家の中での活躍の場が広がる”進化点と言えるだろう。

細かい進化だが、背面を見るとBluetoothのアンテナが小さくなった。正面から見た時に、本体に隠れるので、デザイン性が高まったと言えるだろう。アンテナとしての性能低下は無いそうだ。“なぜアンテナを内蔵しないのか”は簡単で、筐体が全部アルミ製で電波が通りにくいからだ。普通なら「一部をプラスチックにしてそこにアンテナを」とかやるところだが、「そんなことしたら音が悪くなる」とアンテナを付けるところが実にピュアオーディオメーカーらしい。

Bluetoothの対応コーデックは、48kHz/24bitまで対応するaptX HDに加え、aptX、AAC、SBCに対応。プロファイルはA2DPに対応している。

KS-55の背面アンテナ
KS-55Hyperの背面Bluetoothアンテナは小さくなり、正面からは見えなくなった

大きなスピーカーで鳴らす音が、こんな小さな筐体から

さっそく音を聴いてみよう。一番気になるのは「KS-55とどう違うのか」だろう。

というのも、KS-55もメチャクチャ音が良い小型スピーカーで、もはや完全に“PCスピーカー”の枠をぶち抜いて、“ピュアオーディオ用ブックシェルフスピーカー”といえるサウンドを奏でてくれる。

そんなKS-55とKS-55Hyperでは、サイズやユニットが同じ。大きく変わったのはデジタルアンプの出力が、25W×4=総合100Wから、KS-55Hyperは35W×4=総合140Wになった……という部分のみ。「なんだ、アンプの出力が上がっただけか」、「そんなに大きな音は出さないからKS-55でいいのでは」と思う人が多いだろう。ぶっちゃけ私もそう思っていた。

だが、KS-55Hyperとパソコンを接続し、音を出した瞬間「なんだこれは」と、驚くほかない。決して大きな音は出していない。聴感上、KS-55と同じくらいの音量になるようにKS-55Hyperを調整した状態で聴き比べても、音が出たらすぐ「ぜんぜん違うわ」と思わず声が出てしまう。

「イーグルス/ホテルカリファルニア」の冒頭、アコースティックベースがズーンと沈み、そこにアコースティックギターのメロディー繊細に重なるが、このズーンという沈み込みが圧倒的に深い。さらに、その重低音がグワーッとこちらに押し寄せてくるパワーフルさもまるで別物だ。また、ベースの響きが「ズオオオーン」と静かに響いていく音もしっかり聴き取れるため、背後に広がる空間もKS-55Hyperの方がより広く、深いところまで見通せる。

もっとシンプルな女性ボーカル「手嶌葵/明日への手紙」でも、手嶌葵の情感豊かな声の伸びやかさ、そしてたっぷりとした響きがこちらにグッとせり出してくるパワー、そして寄り添うようなピアノの伴奏の響きが背後の空間にどこまでも広がっていく様子が、KS-55Hyperでは本当に奥の奥まで見通せる。

この違いを項目として羅列すると「音圧アップ」、「音場拡大」、「低域がよりパワフル」という感じなのだが、これらが組み合わさると「もはやまったく違うスピーカー」という印象になる。まとめて言うならば「より堂々とした、スケール感豊かな音」になり、そこから生まれる「圧倒的な余裕」みたいなものが、この小さなスピーカーを、大きく見せる。

昔、テレビの通販番組で巨大なスピーカーが登場し、雄大な音楽が流れれた後で、「実はこの大きなスピーカーはケーブルが繋がっておらず、本当はこの小さなスピーカーから鳴っていたのです!」みたいなビックリ・デモがあったが、KS-55Hyperはまさにそれ。“羊の皮をかぶった狼”だ。こんな片手でつかめるサイズのスピーカーから、オーディオ用ブックシェルフの中でも、結構大きめのスピーカーから出ていておかしくないうような、余裕たっぷりのサウンドが流れ出すのは驚きだ。

単に、“小さなスピーカーに大出力アンプを搭載すれば、こんな音が出る”わけではない。その証拠に、「ジェイムス・テイラー/ユーヴ・ガット・ア・フレンド」のような低い音が豊富に入った楽曲を聴きながら、ボリュームをどんどん上げていっても、筐体がまったくビビらない。これがプラスチックなどのヤワな素材であれば、盛大に振動し、その素材特有の響きが音にプラスされ、ボワボワした音になってしまう。だが、KS-55Hyperではお腹にズシズシ響くような音圧で再生しつつ、低音はタイトで、上に重なるギターの描写や、観客の歓声の音像もシャープなまま。解像感がまったく低下しない。

再生中に筐体を触っても、ビビっていない

そのまま音を出しながら、机に手を置いても、机は振動していない。性能の高いインシュレーターの効果だ。もし机からも盛大に音が出ていたら、音場に定位する音像が、こんなにシャープにならなかっただろう。ボーカルや楽器の輪郭は非常にシャープで、細かな音の動きが本当によくわかる。

机にも振動が伝わっていない

この情報量の多さは、前述のように、デジタルのまま処理・増幅してユニットの直前まで情報量を落とさない仕組みも寄与しているのだろう。ぶっちゃけ、個別に「USB DAC」、「プリメインアンプ」、「オーディオ用ブックシェルフスピーカー」を買ってきて、KS-55Hyperを超える音を出そうと思ったら、かなりグレードの高い製品を選ばないと難しいのではないかと思う。とてもじゃないが10万円以下で揃えるのは無理だろう。そう考えると、KS-55Hyperが異常にコスパの良いオーディオシステムに見えてくる。

音が変わると、YouTubeの動画も違って見える

試聴は、パソコンでAmazon music HDを使い、排他モードでハイレゾ楽曲などを聴いているが、これはもちろん音が良い。だが、もっと驚くのはフツーにYouTubeで動画を見た時だ。

最近、コロナの影響であまり外出できないストレス解消で、寝台特急で旅をしたり、キャンピングカーで旅をするYouTuberの動画を見まくっているのだが、その動画の音が、KS-55Hyperで聴くとまるで違う。

駅の構内で多く足音が反響する音が非常にクリアかつリアルで、“本当にその場にいる感”が大幅にアップ。走行中の電車内で「今からシャワーを浴びてみます」と喋っている声が、細かく解像されるので、騒音の中でも聴き取りやすい。

キャンピングカーでは、車内に乗り込んでドアを閉めた時の「バフッ」という密閉感が、音圧豊かなKS-55Hyperで再生すると超リアル。寝床の準備をしている時の、布団の衣擦れや、車内で焼き肉している時の油がはねるピチピチという細かな音まで聴き取れる。今までは麦茶片手に、適当に見ていたYouTuberなのに、耳からの情報量が一気にアップしたことで、姿勢を正して「うわーこんな感じなんだ」と動画に見入る事が増えた。これはホントに“激変”なので、ぜひ体験して欲しい。

YouTubeでこの違いなので、NetflixやAmazon Prime Videoでも次元の違うサウンドが味わえる。最近Netflixオリジナルドラマ「Lupin/ルパン」にハマっているのだが、BGMの重厚さ、緊張感を高めるストリングスの音圧が実にリッチだ。この“リッチさ”が、映画鑑賞には欠かせない。ニアフィールドで視聴しても、小型筐体で音離れの良いKS-55Hyperなら、映画のBGMがパソコンやタブレット画面を遥かに超えて広がり、左右から自分を包み込んでくれる。その中でビシッと中央に定位するセリフの明瞭さも見事だ。

これだけゴージャスでスケール感のあるサウンドで映画が楽しめるなら、ぶっちゃけ「サウンドバーいらないのでは?」と思ってしまう。

Bluetoothでも気軽に再生できる

また、Bluetooth受信できるのもやっぱり便利だ。就寝前とか、朝の時間帯などは、「音楽が聴きたいけど、パソコンは別に起動しなくていい」という時がある。そういった時に、スマホを取り出し、手軽にKS-55Hyperと接続し、ワイヤレスでいい音が聴ける。パソコンを起動していないので、うるさいファンの音も無い。

aptX HDにまで対応していて、鮮度の高いサウンドを、スケール感豊かに再生してくれるので、音が痩せてるとか、情報量が少ないといった事はまったくない。ぶっちゃけ“Bluetoothで音楽を聴いている”感覚はまったくなく、ネットワークプレーヤーを導入したピュアオーディオを聴いている気分に近い。「Bluetoothでもこんな音が出せるのか」と驚くだろう。

リモコンも付属している。本体にタッチしての操作も可能だが、離れて聴く時はリモコンが便利だ

テレビ番組やゲームも別物になる

では、テレビの音をKS-55Hyperで再生したらどうだろう。リビングに持ち込み、テレビからの光デジタル出力をKS-55Hyperに接続すると、これもスゴイ。

テレビ内蔵スピーカーとKS-55Hyperの音を比較すると、もはや違い過ぎて比較にならない。低音がどうのとか、高音がという違いではなく、完全に音の次元が違う。

光デジタルケーブルでテレビと接続

例えば、私はテレビ朝日の「ナニコレ珍百景」というバラエティ番組が好きなのだが、この番組では、“街で見つけた変なモノ”とか“気になる建造物”などを紹介する時に、BGMとしてムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」から「キエフの大門」がかかる。壮大なBGMと共に、シュールな看板などが画面に大写しになるのが面白いのだが、このBGMがKS-55Hyperで再生すると超壮大に広がり、画面の奥まで響きが広がっていくのがわかる。まさか「ナニコレ珍百景」で音の良さを感じる日が来るとは驚きだ。

バラエティでもニュース番組でも、人の声のリアルさ、音像の立体感、そして男性の声の低さや、女性の声の高音などをキッチリと、色付けなく再生してくれるので、あらゆる番組の音が聞き取りやすい。芸人が沢山登場してワイワイ騒ぐような番組でも、一人一人の声の違いがしっかりと聞きわけられる。それぞれの声にちゃんと立体感や質感があるため、ガヤガヤしていても“うるさい”と感じない。

テレビ内蔵スピーカーでは、すべての音にプラスチックの響きが付帯し、音も薄っぺらいため、ボリュームを上げると全部の音が団子のようにくっついて、何がなんだかわらなくなる。その後で、KS-55Hyperに切り替えると、「テレビって、こんなに音に情報量が含まれていたのか」と驚く。

良い音には、ゲームプレイも変える力がある

ゲーム機のPlayStation 5をテレビに接続し、人気のバトルロワイヤルFPS「Apex Legends」をプレイしてみたが、これもテレビ内蔵スピーカーと次元の違う楽しさだ。

生き残りをかけて銃を撃ち合うゲームなのだが、KS-55Hyperでは「ズドドド」という銃撃音の迫力が大幅にアップ。それは当然として、その銃撃音自体も非常に細かく“解像される”。つまり、自分近くでガンパウダー(火薬)が炸裂する“近い音”と、その銃撃音が遠くの山に反響した“遠い音”が、しっかりと描きわけられているのが、KS-55Hyperではハッキリ聴き取れる。

そのため、ただ銃を撃っているだけでも、「ああこのフィールドは、こんなに広い場所なんだな」とか、「自分とあの山のあいだに風が流れているんだな」という周囲の状況が、グラフィックでなく、耳で判断できる。臨場感も増すので、プレイ中の“のめり込み度”もアップ。敵の小さな足音も聞き取りやすいので、戦闘においても“音に命を助けられる”事もある。

“ジックリ”も“気楽”にも使える万能スピーカー

パソコンで、スマホで、テレビで、ゲームでと、KS-55Hyperをいろんなシーンで使って感じるのは、その“懐の深さ”だ。

本格的なオーディオスピーカーに匹敵する、いや、情報量の面では勝っているサウンドが楽しめるので、ちゃんとスピーカーの前に座って、じっくりと音楽を聴き込む、いわゆる“オーディオらしい楽しみ方”ができる。

しかもKS-55Hyperは、音のスケール感、馬力感、音像のパワフルさなど、あらゆる面がKS-55よりレベルアップしているため、机の上に設置して、ニアフィールドで再生する従来の使い方だけでなく、例えば棚などの上に設置し、離れたところに座って聴くようなスタイルにも十分に対応できる。

そんな堂々とした音が、KS-55とまったく同じ、片手で持ち運べるサイズから出ているところもKS-55Hyperの強みだ。インシュレーターも装備した事で、持ち運びやすく、少しのスペースがあればどこにも置ける。「いろいろな部屋で使える気軽さ」は、サイズが大きいオーディオ機器では、逆立ちしても勝てない部分だ。

ベッドで寝転がってタブレットでYouTubeを見ながら、KS-55Hyperから音を出しても良い。テレビと接続して、Netflix映画を迫力満点に楽しんでも良い。書斎のパソコン横に移動し、お気に入りのハイレゾ配信をじっくり楽しむ……。“ジックリ”と“気楽”、その両方に高いレベルで対応できる“次世代オーディオ”。それに最も近いのがKS-55Hyperと言えそうだ。

(協力:クリプトン)

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