Monday, July 31, 2023

岸田首相就任直後に1000万円…日本眼科医連盟の献金と懇親 「議連 ... - 東京新聞

<医療の値段 環流する票とカネ>番外編㊤

緊急事態宣言の発令中は、金曜日夜の東京・新橋でも人通りは少なかった=2021年1月

緊急事態宣言の発令中は、金曜日夜の東京・新橋でも人通りは少なかった=2021年1月

 2020年12月夜、東京・東麻布の高級中華料理店。眼科医でつくる「日本眼科医会」の政治団体「日本眼科医連盟」が懇親会を開いた。同連盟の政治資金収支報告書には「田村議員等との懇親会飲食代」として約28万円の支出が記されている。

 「田村」とは当時、自身2度目の厚生労働相を務めていた田村憲久(58)。自民党の大物厚労族だ。店のホームページには現在、一万数千円〜四万数千円の夜のコース料理が並んでいる。

 懇親会が開かれたのは新型コロナウイルスの流行「第3波」の最中で、都内の飲食店には営業時間の短縮要請が出ていた。政府対策分科会は同年10月、感染リスクが高まる「五つの場面」として「飲酒を伴う懇親会等」を真っ先に挙げ、避けるように促していた。

 なぜそのような時期に国会議員との懇親会を開いたのか。同連盟に内容を質問すると、「個別の会議や会合は政治活動の自由の観点から、公表しているもの以外は回答していない。コロナ禍の飲食は、国や地方公共団体のガイドラインなどに従って適切に対応している」と回答があった。

 田村事務所に問い合わせると、「眼科医の皆さまとの懇親会に参加した記録がある」とのこと。そこで今年3月、国会内で田村に聞くと、「確か店の入り口で、眼科医会の3人くらいの方と話をして、ごめんなさいと言って帰った。忙しくて会食している暇がなかった。眼科医会か議連だったかは分からないけど、その打ち合わせ会だったのでは。人数は10人もいなかったと思う」と話した。

◆「政治家には会食が役に立つ」 献金額も膨張

 議連とは15年に田村と自民党幹事長代理の井上信治(53)を中心に立ち上げた眼科医療政策推進議員連盟。眼科医会の元幹部が話す。

 「厚労省に陳情する時、国会議員と一緒に行く方が向こうも話をよく聞いてくれる。陳情は根拠となるデータを積み重ねた上で、議連の力を借りると、かなり高い確率でうまくいく」

 20年の日本眼科医連盟の収支報告書には、12月だけでなく2月28日にも「議連幹部との懇談会飲食代」として約60万円の支払いがある。懇談会の日付は分からないが、支払先は東京・赤坂の高級中華料理店になっていた。

 元幹部は「政治家は会食によく来てくれる。政治家には会食が役に立つけど、官僚には役に立つと思わないから、あまりお願いしたことはない」と語った。

 同連盟は毎年、議連幹部との懇親会や個別の会合を開いて関係を強める一方、21年は政治献金も大幅に増やした。収支報告書を13年までさかのぼると、総額が最も多かったのは20年の約1300万円。それが翌21年は約3500万円と2.7倍に膨らんだ。

 日本眼科医連盟 1万4500人余の眼科医でつくる公益社団法人「日本眼科医会」の政治団体。眼科医療を推進するための政治活動を行う。眼科医会の会長がトップの執行委員長を兼ねる。連盟の会員は約3500人。2021年は会員から約2900万円の会費や前年からの繰り越しなど1億1230万円の総収入があった。

◆岸田氏に対して2013年以降では初の献金

 岸田文雄政権誕生から8日後の21年10月12日、眼科医会会長で、同連盟の執行委員長も兼任する白根雅子らが首相官邸に岸田を表敬訪問した。

 収支報告書を見ると、同連盟は訪問の翌日、岸田の資金管理団体「新政治経済研究会」に計1000万円の大口献金を行っていた。岸田が衆院を解散する前日で、同連盟が13年以降、岸田側に献金したのは、この時が初めてだった。

 なぜ初めて、しかも1000万円も出したのか。同連盟に取材を申し込んだが、「個別の経緯など収支報告書の決定の記載事項以外の事実は、法令の趣旨(政治活動の自由)に鑑み回答していない」とのことで事情は分からなかった。岸田事務所は「政治資金は法令に従い適正に処理し、その収支を報告している」と答えた。=文中敬称略

   ◇ 

 治療や入院など医療行為の公定価格で、2年に1度改定される診療報酬。この30年間、民間給与が伸び悩む中で上がり続け、保険料や税、病院窓口での支払いなど国民負担も増え続ける。連載の番外編では、国会議員連盟を舞台にした医療の値段を巡る攻防を描く。(杉谷剛、中沢誠、奥村圭吾)

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