Sunday, March 8, 2020

米、タリバン合意 見通せないアフガン安定 | 社説 | コラム - 熊本日日新聞

 米国とアフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが和平合意に署名した。アフガンに駐留する米軍などの段階的撤退と、タリバンがテロ組織を支援しないことを柱としている。

 2001年の米中枢同時テロに端を発した「米史上最長の戦争」は転換点を迎えたとは言えるが、合意の先には多くの難題があり、依然、アフガンの安定は見通せない。

選挙へのアピール

 01年当時のタリバン政権は米軍などの攻撃を受けて崩壊。パキスタン国境周辺に逃れたが、現在は勢力を盛り返し、国土の約半分を掌握しているとされる。

 米国内では泥沼化する戦闘に厭戦[えんせん]気分が高まっており、就任前からアフガン駐留に否定的だったトランプ大統領の意を受け、18年7月からタリバンとの和平協議を開始していた。

 今回の合意の背景にも、11月の大統領選挙に向けて、トランプ氏が戦争終結をアピール材料にしたいとの思惑が見える。

 しかし、アフガン政府の頭越しの交渉で決めた合意には、和平プロセスに不透明な部分が多く、一つ間違えれば、かえって戦乱拡大につながりかねない危険性をはらんでいる。

国際連携が不可欠

 今後はアフガン政府とタリバンとの交渉に焦点が移るが、ガニ大統領は、タリバン側が交渉入りの前提としている捕虜の解放を拒んでおり、早くもタリバンは反発を強めている。

 さらにガニ氏自身が、今年2月に再選を決めた後も、選挙結果を認めないライバル勢力との対立が続いている。政権ナンバー2のアブドラ行政長官が独自に政権樹立を宣言するなど、その政治基盤は脆弱[ぜいじゃく]だ。

 一方で、タリバンも和平合意に反対する強硬派を内部に抱え、アフガン国内には過激派組織「イスラム国」(IS)など他の武装勢力も存在する。駐留軍の撤退で力の均衡が崩れれば、現政権内の派閥も含めて、武力による主導権争いが過熱することも十分に考えられる。

 西洋的な価値観に基づく共和制を導入してきた現政権に、厳格なイスラム主義を掲げるタリバンがどのような形で政治参加していくのか。そのプロセスまで明確化させ道筋をつけなければ、「米国は自ら仕掛けた戦争の後始末をせず、アフガンを無責任に放り出した」とのそしりは免れまい。

 タリバンへの一定の影響力を持つパキスタンや中国、ロシアなども絡めた国際連携による支援が、和平プロセスには不可欠だろう。かつて米国とソ連という2大国の代理戦争の様相を呈した、アフガン内戦の歴史の愚を繰り返してはならない。

中村哲さんの遺志

 アフガンで人道支援活動を長年続け昨年、銃弾に倒れた非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表の医師、中村哲さんは、アフガンの戦乱の根本には貧困問題があることを指摘していた。

 貧困ゆえに若者が武装勢力に加わり戦乱が広がる暴力の連鎖を断ち切るために、井戸や用水路を建設し、干ばつで乾いた大地に緑を広げた。和平のプロセスには、こうした中村さんの遺志を引き継ぎ、銃をくわに持ち替えさせる地道な活動こそが求められよう。

 日本政府も、02年に東京で開き国際支援の枠組みをまとめた復興支援会議から、アフガンの人道支援には深く関わってきた。現在、国連アフガニスタン支援団を率いる山本忠通代表も、日本の外務省出身である。

 今後も武力によらない平和主義での支援活動を貫くことで、現地の各勢力からの信頼をさらに育み、それをアフガン社会の真の安定につなげたい。

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March 09, 2020 at 07:15AM
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