Thursday, August 27, 2020

社説 イラン核問題 査察合意を対話の契機に - 信濃毎日新聞

 イランが国際原子力機関(IAEA)による査察に合意した。

 両者が共同声明で明らかにした。未申告で核関連活動を行った疑いのある二つの施設で近く実施される。

 交渉がまとまらなければ、英独仏中ロと結んでいる核合意が破綻し、イランが国際社会から孤立しかねない状況にあった。今回の合意を、関係国との対話を深める契機としてほしい。

 焦点の二つの施設では2002〜03年、秘密裏に核関連活動が続けられたとされ、いまも核物質を保管しているとの疑惑の目が向けられている。

 深刻な問題ではないとの指摘があったものの、IAEAは核の軍事利用を止める防波堤が崩れると危機感を高めていた。繰り返し、査察を受け入れるようイランに要求していた。

 敵対するイスラエルの調査資料で発覚したこともあり、イラン側は査察を拒んだ。トランプ米政権が一方的に離脱した後も、核合意の維持に腐心してきた英独仏は態度を硬化させ、イランへの非難決議を提案。IAEAの理事会で採択されていた。

 今年2月のイラン国会選挙では反米の保守強硬派が議席の7割を占め、圧勝した。早速、IAEAに抜き打ち査察を認めた「追加議定書」の履行停止を政府に求める声明を発表している。

 米国が発動した経済制裁に新型コロナが追い打ちをかけ、イラン経済は著しく疲弊している。融和路線を探るロウハニ大統領は求心力をそがれつつある。

 7月にイランの核施設で起きた火災を「破壊工作」と断定していながら、実行国の名指しを避けているのも、報復の体力が乏しいからとの見方が強い。

 核兵器の開発を迫る強硬派の圧力が高まる中、一転して査察受け入れに踏み切ったロウハニ政権の判断は軽くない。

 トランプ政権は核合意をほごにしておきながら、イランの違反を理由に国連制裁の全面復活を提起している。核合意の完全崩壊につながる恐れのある手続きの発動を、懲罰関税を課すと脅し英独仏に強要したともいう。

 英独仏中ロは9月1日、核合意の履行状況を話し合う。査察合意で、イランの核兵器製造の芽が断たれたわけではない。

 イスラエルに肩入れする米国をいさめ、人道的見地からも制裁を解くよう迫るべきだ。ロウハニ政権が対話の席から離れずに済む環境を整えなくてはならない。

(8月28日)

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