Thursday, December 24, 2020

情報BOX:英EUが土壇場で交渉妥結、合意のポイントは - ロイター (Reuters Japan)

[ブリュッセル 24日 ロイター] - 英国と欧州連合(EU)は24日、自由貿易協定(FTA)を含む今後の関係を巡る交渉で合意したと発表、英国のEU離脱(ブレグジット)は「移行期間」終了の1週間前という土壇場で話し合いが決着した。

英EU合意のポイントをまとめた。

<ブレグジットとは何か>

ブレグジットは「British」と「exit(出口)」の2つの単語を組み合わせた造語。欧州諸国は第二次世界大戦後に経済的、政治的な統合を進め、EUを設立。英国も加盟したが、2016年に行われたEU離脱の是非を問う国民投票では52%対48%の僅差で離脱支持が過半数となった。

英国は2020年1月31日に47年間加盟したEUを正式に離脱。英国では離脱派が政治的主権を取り戻したと歓迎した。一方、残留支持派は、離脱は欧州統合の歴史的後退で、これまで経験したことがない経済的な打撃をもたらし、アイルランドとの国境問題が再燃する恐れがあるとみていた。

英国はEUの正式離脱後も通商や学生の交流などあらゆる分野でEU加盟国とほぼ同等の扱いを受けたが、この「移行期間」は12月31日に期限を迎える。

<合意の範囲>

英国とEUは2021年1月以降もモノの貿易を維持しようと、3月以降、複雑な話し合いを行ってきた。24日の合意によると、総額9000億ドル(約93兆円)の英EU貿易の約半分を占めるモノの貿易については、自由な移動が維持され、関税や割当枠も設けない。

しかしモノの移動は通関作業など管理の対象となり、手続きがこれまでよりも増えて大きな混乱が予想される。

12月24日、英国と欧州連合(EU)は、自由貿易協定(FTA)を含む今後の関係を巡る交渉で合意したと発表、英国のEU離脱(ブレグジット)は「移行期間」終了の1週間前という土壇場で話し合いが決着した。写真は1月、英議会前に掲げられた英国旗と、EUの旗(2020年 ロイター/Toby Melville)

英国とEUは昨年「離脱協定」を正式に結び、通商などを含む将来の関係について交渉してきたが、英領北アイルランドとEU加盟国であるアイルランドとの国境問題について、厳しい国境管理を導入しないことで合意した。

さらにEU加盟国の英水域での漁獲割り当てを巡る対立も主要な争点となっている。

<影響を受けるその他の分野>

今回の合意により英国とEUは多くの分野で、ブレグジット前と比べて協力関係の度合いが変わる見通しだ。英国の輸出の柱となっている金融とビジネスサービスはほとんどが対象外。外交政策や安全保障・防衛などの面での協力も合意の対象外となっている。一方、輸送やエネルギー、原子力関連の民間協力などの分野は現在よりも結び付きが弱くなる。

<関係が薄れる他の分野>

モバイル機器のローミング、専門家資格の相互認定、法的サービスへのアクセス、オンライン取引や公共調達などの分野でも協力関係が低下するだろう。

英国とEUは往来にあたってビザ(査証)の取得を義務付けないことで合意したが、「ヒトの自由な移動」は終わる。

つまりEU域内に居住する市民が英国に入る場合も、その逆も入国審査が必要になり、入国時に生体認証技術を組み込んだパスポートを使って迅速に自動化ゲートを通過することはできなくなる。

<ブレグジットは完了>

英国はEUの関税同盟、単一市場から離脱して、EUの規則に縛られることはなくなり、ブレグジットは完了した。両者の関係は「離脱協定」と、24日に合意した通商・協力協定に基づいたものになる。

ただ、今回の合意には移行期間や見直しに関する条項が含まれており、漁業や通商規則など多くの項目を巡ってさらに協議が控えている。

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