「100年に一度の変革期」で変わるモビリティとの付き合い方
自動車業界では100年に一度の変革期という表現が当たり前にように使われています。その変革に大きく影響する要素として「CASE」というアルファベットがセットで記されていることも多いのも、ご存知でしょう。
CASEとはコネクテッド・オートノマス・シェアリング・エレクトリックの頭文字を繋いだもので、次世代モビリティのキーワードとしても認識されています。
つながる技術の「コネクテッド」、自動運転の「オートノマス」、電動化を意味する「エレクトリック」というのは、いずれもハードウェアに関するものですが、この中で唯一ビジネスモデルというか、ユーザーの使い方の変化を意味するのがシェアリング=共有です。
これまでのモビリティが基本的に個人所有を前提していたのに対して、共有(共同所有)するという風にモビリティとの付き合い方が変わっていくというトレンドが生まれているのです。実際、電動キックボードなどはサブスクリプションサービスとして運用されることがスタンダードとなりそうですし、四輪でもカーシェアサービスは成長しています。
さすがにバイクのシェアリングビジネスはそれほど盛んではありませんが、レンタルビジネスが拡大しているのは感じるところでしょう。
「経験を買う」意味でもレンタルは有利
では、バイクを楽しむのにレンタルと所有するのとでは、どちらの「コスパ」がいいのでしょうか。
たとえば、ホンダのスポーツフラッグシップであるCBR1000RR-R FIREBLADE SPのメーカー希望小売価格は278万3000円となっています。もし、このバイクを買うとすると乗り出し価格では300万円を超えてくるでしょうし、さらに保険や税金などもかかります。ガソリン代などの変動費を除いても毎年10万~20万円の維持費がかかってくることでしょう。
一方、ホンダが展開しているレンタルバイクサービス「Honda Go」でCBR1000RR-R FIREBLADE SPを24時間借りた場合の料金は2万6000円です。立ちごけなどに対応した手厚い補償をオプションでつけたとしても3万9800円です。
仮にCBR1000RR-R FIREBLADE SPを5年間所有していて、車両代と維持費で400万円かかったとします。その予算があれば同じ5年間で100回ほどレンタル可能というわけです。
憧れのバイクに乗ってみたいという経験を買うだけであれば、あえて購入するよりもレンタルしたほうが有利といえます。さらに5年間で400万円という予算で考えれば、毎回レンタルする車両タイプやメーカーを変更し、より多様なバイクに乗ることが可能です。同じ予算感で、経験豊富なライダーになれるというわけです。
ただし毎回違うバイクでスキルを磨くのは難しい
一方で、この試算には大事な前提条件があります。
それは「レンタルで初めて乗ったバイクでも存分に楽しめるだけの経験値とスキルを持っているということ」です。
ビギナーライダーが初めて触れるモデルをおっかなびっくり乗ったとしても楽しい思い出にはならないかもしれませんし、まして慣れないバイクばかり借りていてもスキルアップは難しいかもしれません。
スキルを磨くためには、日々練習することが近道となります。それには自分のバイクを所有する必要があるといえるのです。また、小柄なライダーはローダウンしないと快適に乗れないということもあるでしょう。その場合はレンタルできるバイクが限られることもあり、やはり所有して自分の乗りやすいようにカスタムするほうが充実したバイクライフが送れるはずです。
気ままに乗れるのが所有のメリット
ちょっとした空き時間に「バイクに乗ろう」と思えるのも所有しているからこそできる楽しみ方です。レンタルの場合は、あらかじめ予約が必要ですし、バイクショップなどまで借りに行く必要があります。気軽にバイクライフを送ることができるのは所有のメリットといえます。
昨今、バイクの中古相場は上昇していますから、最終的に売却することを考えると、コスパの点でも所有が有利になるケースもあるかもしれません。もっとも、このあたりは愛車のリセールバリューにも左右されますし、愛機は一生手放さないというオーナーには関係ない話かもしれませんが……。
どちらを選んでもバイクは楽しい
もっとも、どちらが正解とはいえないとも思います。
気に入ったバイクを、自分の乗りやすいようにカスタムしたり、気ままに乗ったりするのは所有するからこそできることです。
逆に、様々なモデルをローコストで楽しむことができるのはレンタルの醍醐味といえます。
そして、「買う」か「借りる」かの論争をするのはもったいないとも思います。いつでも乗れる愛車を所有してスキルを磨きつつ、たまには異なるカテゴリーやライバルモデルをレンタルで味わうというのが、もっとも理想的なバイクライフといえるのではないでしょうか。
レポート●山本晋也 写真●ホンダ 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実
からの記事と詳細 ( 「借りる」vs「買う」バイクは結局どちらがお得なのか? 借りる方が有利になる「条件」とは? - モーサイ )
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