小山市の新小山市民病院(島田和幸病院長)と小山工業高等専門学校(堀憲之校長)は、人手不足対策などの一環として病院内で検体を運ぶ自動搬送ロボットを共同で完成させ、本格運用を始めた。現在は夜間の救急対応時のみの稼働だが、昼間や検体以外の搬送などにも活用できるように今後も共同研究を進める。(林栄太郎)
完成したロボットは、高さ約1・2メートルの箱型。「お・ボット」と名付けられた。時速約2キロで動き、夜間、救急外来から臨床検査室までの約100メートルを、血液などの検体を約4分かけて運ぶ。充電池を内蔵、障害物に反応するセンサーも備える。今年2月から実証実験として実際に検体を運んでおり、混乱もないという。
開発のきっかけは、コロナ禍による職員の負担増。同病院によると、夜間の検体搬送は多い時は20回に及び、PCR検査など看護師らの業務量が増し、宿直の事務職員が搬送を担当するようになっていた。関彰事務部長は「事務職員は仮眠する時間もなく、本来の保安や警備の業務に専念できなくなっていた」と振り返る。
病院では、負担軽減策としてロボットの活用を検討し、2021年、ロボコンの全国大会で2年連続優勝したこともある小山高専に協力を願い出た。関事務部長は「既製品を購入する方法もあったが、地元で『ロボコン日本一』として知られる小山高専との共同研究を選んだ。一緒に開発を行い、病院内でテスト走行を繰り返すことで、医療現場にロボットを導入することへの職員の不安が減り、ロボットへの信頼や期待感が高まると考えた」と話す。
小山高専では、自律移動ロボットの研究を行っており、機械工学科の今泉文伸教授は「学校以外の実環境での活用を検討していた。共同研究の打診を受け、病院で活躍できるロボットを学生と一緒に作ることになった」と説明する。
小山高専では三つの研究室の教員、学生が参加、本体、ソフトウェアとも校内の設備で製作した。費用は約200万円。最初の試作機は翌年暮れに完成したが、動作が不安定で、試行錯誤を繰り返し、昨年12月に最終機ができあがった。
今泉教授は「働き方改革や人手不足解消に貢献できるよう、研究を進め、昼間の稼働や医薬品の搬送、エレベーターでの移動など、ロボットの活躍場所を広げていきたい」としている。
4月末に病院で行われた完成発表会で「お・ボット」は堀校長から辞令交付を受けて勤務を開始。島田病院長は「業務が大きく効率化した。小山高専と対話を重ねたことは貴重な経験」と話していた。
からの記事と詳細 ( 病院もロボットの手借りる、夜間に血液など搬送…職員の負担減に向けて小山高専と共同開発 - 読売新聞オンライン )
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