Tuesday, May 26, 2020

レンタルファッションのゆくえ。ポストコロナは「買う」から「借りる」の時代になるのか? - VOGUE JAPAN

Photo: Jamie Stoker

新型コロナウイルスの脅威が世界を覆うまで、服のレンタルサービスは、サステナブルな消費のための最善策であると見なされてきた。結婚式や休暇用に新しいドレスを購入する代わりに、好きなデザインを好きなタイミングで借りることができ、クローゼットの風通しもよくしてくれた。

こうしたサービスへの需要は、特別な機会のための服だけでなく、デイリーファッションにまで急速に広がった。昨年、エイチアンドエム(H&M)ガニー(GANNI)は服のレンタルサービスを小売業者としていち早くスタートし、イギリス発のレンタルサービス、Hurr CollectiveMy Wardrobe HQが有名百貨店でポップアップストアをローンチするなど、服のレンタルがメインストリームになりつつあることを印象付けた。

しかし今、その未来が揺らいでいる。一時は2023年までに25億ドル(約2,800億円)規模になるとも予測されたレンタルサービス市場だが、アメリカでは、先駆的存在であったRent the Runwayがパンデミックの煽りを受けて従業員の一時解雇や一時的な賃金カットを発表。同社はTwitterで、「新型コロナウイルスの感染拡大によって売上が激減したため」との声明を出した。

またRent the Runwayの倉庫で働く従業員たちは、新型コロナウイルスに対する現場での対策が不十分だとして同社を訴えているが、会社側は「パンデミック収束には時間がかかる」とした上で、倉庫では一連の安全対策が講じられており、従業員に対しては有給休暇を取るという選択肢を与えていると反論した。

イベント依拠と衛生問題。  

困難に直面しているのは、もちろんRent the Runwayだけではない。前述のHurr Collectiveは個人間のレンタルサービスだが、ここでも利用者が激減している。共同設立者兼CEOのヴィクトリア・プリューは、その理由をこう語る。

「それを着ていくイベントがないという至極シンプルな理由が、需要に影響しています」

Zoomパーティーなどのためにレンタルするにも、価格を考えると現実的ではない。例えばガニーのドレスを1週間レンタルすると、最大170ポンド(約22,000円)、Rent the Runwayで4点レンタルすると月に72ポンド(約9,500円)がかかる。

市場調査会社Mintelのシニア・リテール・アナリスト、チャナ・バラムは、消費者がレンタルする動機をあくまで「結婚式やイベントという目的のため」と見ている。

Photo: REUTERS/Andrew Kell

現在のパンデミック下におけるレンタルビジネスの低迷は、衛生上の問題にも起因している。とくにHurr Collectiveのような消費者間で直接やり取りするプラットフォームの場合、健康と安全に関する明確なガイドラインが不可欠だ。プリューは次のように説明する。

「Hurr Collectiveでは、服をレンタルする際には貸し手にクリーニング店でのドライクリーニングを義務付けています。またコンシェルジュサービスにおいては、Hurrが直接ドライクリーニングを管理しています。政府の指針に従って、安全衛生の観点から私たちができるすべてのことを行っています」

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、インフルエンザウイルスが75度以上で死滅するのに対し、新型コロナウイルスの場合はまだ明らかになっていない。そのため、その衣類に適した最最高温度で洗濯することが推奨される。

たとえHurr Collectiveのように厳しいルールを適用していたとしても、他人と服を共有すること自体を敬遠する消費者もいるはずだ。バラムは企業側に、衛生面に徹底対処した上で、ウェブサイトで服のレンタルが安全であることを明確に示す必要があるとアドバイスする。

「倫理的な消費」の最適解となり得るか。

Photo: Jamie Stoker

こうした苦境にあっても、マーケット回復の明るい兆しがまったく見えないわけではない。中国のレンタルサービス、YClosetは、3月末にロックダウン措置が緩和されてから利用者が増加している。同社の創業者でエグゼクティブディレクターのメンユアン・リウはこう語る。

「職場復帰が徐々に進むにつれて、レンタル業界もまた復調基調にある」

Hurr Collectiveのような消費者間のレンタルサービスはとくに、利用者に新たな収入源を提供できることから、衛生面への懸念が払拭されればパンデミック後に再び人気が高まる可能性も高い。

今回のパンデミックによって私たちは、余計なものをそぎ落としたよりサステナブルな生活の快適さを学んだわけだが、こうした新たな消費行動は、今後も続いていくことが予想される。その意味でも、レンタルビジネスへの期待が下がることはなさそうだ。プリューは最後にこう締めくくる。

「人々はこれまで以上にファッション・フットプリント(ファッションが環境に与える負荷)を意識した消費を心がけるようになるはずです。そのとき、レンタルサービスが提供できる価値は非常に高いと思います」

Text: Emily Chan

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May 27, 2020 at 10:10AM
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