Saturday, September 5, 2020

(社説)コロナワクチン 社会の合意 丁寧に築け:朝日新聞デジタル - 朝日新聞社

 新型コロナのワクチンについて、政府は来年前半の接種開始を目標に掲げ、すべての国民に提供できる量を確保することをめざすとしている。

 国内の研究機関や大学、製薬会社に開発を委託するだけではなく、複数の海外メーカーとも契約を結ぶ。社会経済活動を維持していくうえで、ワクチンの開発と普及は極めて重要な意味をもつ。関係者は最善の努力を尽くしてほしい。

 とはいえ、有効性や安全性を確かめる作業をおろそかにすることはできない。

 いま開発が進むワクチンの中には、ウイルスの遺伝情報の一部を用いる「遺伝子ワクチン」のように、実用化されたことのない新しい技術に基づくものが多い。接種が逆に、感染や重症化のリスクを高めるおそれがあるともいわれる。スケジュールありきで物事を進め、多くの国民に健康被害が及ぶような事態は避けなければならない。

 医薬品の審査を行う独立行政法人は今月2日、海外で臨床試験が実施され、有効性が認められたワクチンであっても、国内での臨床試験を必要とする考えを示した。ウイルスの性質やワクチンの効能は地域や人種・民族によって異なる可能性があり、もっともな指摘だ。

 国が承認するにあたって、どのような基準を満たせばよいのか、どの程度の副反応であれば許容するのか。そうした情報を丁寧に発信し、透明性のある議論を重ねて、社会の合意を形成することが肝要だ。

 また、臨床試験の過程で副反応のすべてを把握・評価できるわけではない。海外からも必要なデータを速やかに得られる態勢を築いておく必要がある。

 一般的にワクチンには、感染そのものを防ぐ以外に、病気の発症や重症化を抑える効果がある。しかし肺炎を起こすウイルスの病気に対しては、感染を予防できるワクチンが実用化された例はないといい、政府の分科会では過度な期待を戒めるべきだとする意見も出ている。

 治療薬候補のアビガンをめぐって安倍首相は今年5月、「3千例近い投与が行われ、効果があるという報告も受けている」と述べ、月内の承認をめざす考えを示した。だが臨床研究で十分な効果は確認されないまま、今に至っている。政治の側からのこうした前のめりな発言は、厳に慎んでもらいたい。

 ワクチンの供給が限られる段階で、どんな属性の人々から接種を進めるか。副反応で健康被害が生じた場合の補償をどうするか。認識を共有すべき課題はたくさんある。国やメーカーではなく、接種を受ける市民の視点から議論を深めるべきだ。

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