【カイロ時事】核開発を進めるイランが、バイデン米政権への揺さぶりを強めている。イランは新たに、2015年の核合意で禁じられている金属ウランの生産に着手。バイデン政権が合意から一方的に離脱したトランプ前政権のイラン政策の転換を模索する中、制裁解除を求めて合意形骸化もいとわない姿勢を示し、米国と「神経戦」を展開している。
国際原子力機関(IAEA)は10日、イラン中部イスファハンの施設で今月8日、金属ウラン3.6グラムが確認されたと明らかにした。微量ではあるものの、金属ウランは核兵器の材料になり得る。核合意は「イランは生産・獲得に15年間関わらない」と定めており、合意破りは明白だ。
イランでは昨年11月、核活動の研究開発を主導した核科学者が暗殺された。国内で報復を訴える声が高まり、保守強硬派が多数を占める国会は同12月、核開発強化を政府に求める法案を可決。その後は濃縮度20%の高濃縮ウランの製造などに踏み切り、国際社会の反発を招いた。
核合意をめぐっては、バイデン大統領は、まずイランが合意を逸脱する措置を停止することが復帰の条件だと主張。7日放映の米テレビとのインタビューでも、イランを交渉のテーブルに戻すために米国が先に制裁を解除する可能性は「ない」と明言した。
これに対しイラン最高指導者ハメネイ師は7日、「核合意に戻ってほしければ、米国は全ての制裁を解除すべきだ」と強調。制裁で経済が疲弊する中でも、強硬な立場を崩していない。
イラン側は、バイデン政権発足から約1カ月となる今月21日までに制裁が解除されない場合、IAEAの抜き打ち査察の受け入れを停止すると警告した。実行されれば、核開発の全容把握が難しくなる恐れがある。ザリフ外相は10日、「米新政権は新たなアプローチを試す好機なのに、そのチャンスは急速に狭まりつつある」と重ねてけん制した。
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