2021年10月16日07時10分
【カイロ、ワシントン時事】イラン核合意再建をめぐる協議再開に向けた当事国間の駆け引きが激しさを増している。イランが交渉再開に応じず、合意を逸脱した核技術向上を図る中、ブリンケン米国務長官は「外交以外の選択肢」に言及。イラン敵視の姿勢を隠さないイスラエルも加わり、米イランの対立が先鋭化する恐れもある。
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「実務的な合意につながる真剣な交渉に臨む用意は常にある」。イランの反米保守強硬派ライシ政権下で就任したバゲリ外務次官は14日、米イラン間の仲介役を務める欧州連合(EU)欧州対外活動庁(EEAS)のモラ事務局次長とテヘランで会談し、合意再建への意欲を強調した。
アブドラヒアン外相も14日、ロシアのラブロフ外相との電話会談で、EU側と「違法な(対イラン)制裁に伴うこう着状態の打開策」を話し合ったと説明。約2週間後にブリュッセルで再び協議する方針を明らかにした。
しかし、合意再建協議は6月を最後に途絶えたままで、ライシ政権の交渉戦略は不透明だ。イランは兵器級に近い濃縮度60%の高濃縮ウラン製造のほか、国際原子力機関(IAEA)の査察制限など揺さぶりを続けている。関係各国は「交渉を拒みつつ、合意復帰の道筋を複雑にする既成事実を重ねている」(フランス外務省報道官)といら立ちを募らせる。
ブリンケン氏は13日、訪米したイスラエルのラピド外相、アラブ首長国連邦(UAE)のアブドラ外相との共同記者会見で「(対イラン交渉の)残り時間がなくなりつつある」と懸念を示した。さらに「イランが方針転換しなければ、別のオプションに取り組む用意がある」と述べ、外交重視から強硬姿勢に転じる可能性も警告し、イランに交渉への復帰を求めた。
ブリンケン氏は「別のオプション」の詳細には言及しなかったが、ラピド氏は「悪から世界を守るために国家が武力を行使しなければならないことをわれわれは知っている」と表明。イランの核開発阻止のために軍事行動を排除しない構えで米国と一致していると示唆した。
ただ、バイデン政権は台頭する中国との競争を最優先課題に掲げ、中東からインド太平洋地域へ外交・安全保障政策の重心を移そうとしており、中東での軍事オプションには消極的とみられる。専門家の間では、追加制裁などによる圧力強化にとどまると予測する声が出ている。
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