9月のドイツ総選挙で第1党になった中道左派、社会民主党(SPD)は15日、第3党の緑の党、第4党の自由民主党との連立交渉で大枠合意に達したと発表した。3党は、週明けにも正式交渉に入る予定。SPDのショルツ財務相を首相とする3党連立政権の実現に向け、大きく前進した。
合意文書は12ページで、デジタル化推進と環境対策を重要課題の筆頭にあげた。緑の党の要求に添って、石炭火力発電を2030年までに全廃する目標が明記された。メルケル政権は38年までの「脱石炭」を掲げていたが、目標年を前倒しにした。ショルツ氏の公約だった最低賃金の引き上げも盛り込まれ、時給を最低12ユーロ(約1560円)とすることが明記された。
外交では、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)を重視する従来の方針を引き継ぎ、インド太平洋政策には触れていない。正式交渉は、各党が党内手続きで合意文書を承認した後に開始される。
3党合意が前進したことで、メルケル首相の保守系与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の政権入りは難しくなった。CDU・CSUは総選挙で第2党に転落。連立交渉への意欲を示したが、党内では執行部刷新を求める声が広がっている。メルケル政権を支えたクランプカレンバウアー国防相、アルトマイヤー経済相はそれぞれ、比例区で獲得した議席を辞退する意向を示した。(パリ支局 三井美奈)
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