Saturday, October 30, 2021

G20が2年ぶり対面開催、国際課税合意を承認へ - BBCニュース

World leaders meet at the G20 summit

画像提供, Getty Images

主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が30日、イタリア・ローマで開幕した。加盟国首脳は、大企業への各国共通の法人税の最低税率を15%以上とする国際合意を全会一致で承認した。

法人税に関する合意は、企業が多国籍企業法人税率の低い国に現地法人を設立し、そこで利益を申告することで現地の税率に沿って納税していることを受けてのもの。

ロイター通信によると、アメリカが提案した租税に関する取り決めは31日に正式に採択され、2023年までに施行される予定。

ジャネット・イエレン米財務長官はこの歴史的な合意について、世界経済にとって「重要な瞬間」であり、「法人税における底辺への有害な競争に終止符を打つ」だろうと述べた。

イエレン氏は、アメリカに拠点を置く多くの巨大企業がより多くの税金を払わなければならなくなったとしても、米企業や労働者はこの取り決めの恩恵を受けるだろうとツイートした。

ジョー・バイデン米大統領は、「ここG20で世界の国内総生産(GDP)の80%を占める各国の首脳が、同盟国か競合国かを問わず、強力でグローバルな最低法人税率を明確に支持した。これは単なる租税合意にとどまらない。外交を通じて、世界経済を再構築し、国民に貢献しようという取り組みだ」とツイートした。

Presentational white space

G20に加盟する19カ国と欧州連合(EU)のうち、中国の習近平・国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領はビデオ会議での参加を選んだ。

気候変動対策

今回のサミットでは気候変動や新型コロナウイルスも議題となっている。パンデミックが始まって以降、各国首脳が直接顔を合わせるのは初めて。

各国間に大きな隔たりがある気候変動対策をめぐっては、イタリア首相が「単独で行動するという選択肢はそもそもない」と述べ、各国に団結を訴えた。

31日からは、開催が待望されていた国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が始まる。

G20サミットの内容がCOP26への基調となる可能性があるものの、気候変動への取り組みをめぐり、各国は依然として厳しく対立している。

イタリアのマリオ・ドラギ首相は2日間にわたるG20サミットの冒頭、「単独で行動するという選択肢はそもそもない」と述べ、各国のリーダーに対して団結を求めるメッセージを発信した。「我々は互いの違いを乗り越えるために全力を尽くさなければならない」。

専門家からは、二酸化炭素(CO2)排出量削減のために早急な対策を講じなければ、将来的に悲惨な状況になるとの警告が強まっている。

ボリス・ジョンソン英首相はBBCの取材に対し、気候変動は「人類にとって最大の脅威」とし、「文明を基本的に後退させるリスク」があると述べた。

一方で、G20やCOP26では地球温暖化を阻止することはできないと認めつつ、適切な対策を講じれば「地球の気温上昇を制限することはできる」と述べた。

ロイター通信によると、G20合意文書(コミュニケ)の草案には、気温上昇を摂氏1.5度におさえるために努力するというG20の約束の概要が記されている。草案は「すべての国による意味のある効果的な行動が必要」としている。

また、「途上国のニーズに対応するため、先進国は2025年までに官民から年間1000億ドル(約11兆4000億円)を投入」し、途上国が気候変動問題に取り組めるようにする必要があるとしている。

先進国は2009年コペンハーゲン会議で、2020年までに年間1000億ドルの気候変動対策資金を途上国に提供することで合意したが、この目標はいまも達成されていない。

イランへのメッセージ

これとは別に、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスの各首脳は、イランの核活動に対する「深刻かつ増大する懸念」について協議した。イランはG20に参加していない。

4カ国は共同声明で、イランが核開発を進めれば、アメリカとの2015年イラン核合意に復帰し、経済制裁が解除される可能性を台無しにすることになると述べた。

また、イランのエブラヒム・ライシ大統領に対し、「危険なエスカレーション(事態悪化)避けるために(中略)軌道修正する」よう求めた。

イランとの核協議は何カ月もの間停滞していたが、11月に再開される予定。

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<分析> ジェイムズ・ランデールBBC外交担当編集委員

この数年、多くの国は自分の面倒を見てきた。独自にワクチンを作り、貿易障壁を設け、気候変動の危機に対応するよりも経済成長を優先させてきた。

これはもうおしまいにしなくてはならない――と、それが、イタリアのドラギ首相の言いたいことだ。G20各国の首脳が地球温暖化を食い止め、ワクチン不平等を終わらせ、経済を立て直すには、もっと多極的に考えて行動し始めなくてはならないと、ドラギ氏はそう言っている。

それには、サミットに出席すればいいというものでもない。それには時に、自国の狭い要請よりも、広い世界の利益を優先することを意味する。これは大変なことだ。そのためには時に、自国の有権者に難題を突き付けることになるからだ。今のところ、世界の指導者全員にそれだけの用意や覚悟があるようには見えない。

裕福な国が炭素排出量を削減し、新型コロナウイルスワクチンをもっと途上国に提供し、不安定なエネルギー価格を安定させる、その用意があるのかどうか、各国の共同歩調は作れていない。

G20サミットは、多くの言葉を紡ぎ出す。しかし大事なのは行動だ。何よりも、気候変動についての行動だ。英スコットランド・グラスゴーで開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が成功するかどうかは、G20が気候変動についてどう行動するかに大きくかかっている。

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