Wednesday, April 6, 2022

山を借りる 新サービス「レンタリン」とは?:あさってキャンプ - 北海道新聞


自分だけのキャンプフィールドがほしい―。キャンプ沼にはまった人なら、そんな願望を抱くことありますよね。「山を買う」のはハードルが高い印象ですが、「山を借りる」サービスがあることを知っていますか? 4月から北海道内で展開する山林レンタルサービス「レンタリン」。アウトドア好き注目のサービスに迫ります。

目次
1. 苫小牧の森を貸し出し
2. 森の賃貸アパート
3. 年間10万円は高い?安い?
4. 地主とキャンプ好きの課題解決

苫小牧の森を貸し出し


レンタリンを運営するのは、広告業などを手掛ける「道新サービスセンター」(札幌市)です。4月から苫小牧市東部の植苗地区にある5ヘクタールの広葉樹林を年間契約で貸し出しています。
冬の植苗の山林
冬の植苗の山林

新千歳空港や苫小牧市中心部から車で20分ほどの立地。43区画に分けてレンタル希望者を募っていますが、4月初めまでに9割が埋まりました。
植苗の山林の区画図(レンタリン公式サイトより)。4月初めまでに9割が埋まりました。青いマークは駐車場所
植苗の山林の区画図(レンタリン公式サイトより)。4月初めまでに9割が埋まりました。青いマークは駐車場所

人気の背景には、近年のキャンプ場の混雑や山林を所有するハードルの高さにあります。レンタリン事務局の田村祐太朗さんは「キャンプに利用できる山を探すのはとても大変です」と話します。山林所有の課題をまずは整理してみます。

山林所有のハードル
・山林を本格的に扱う不動産業者が少ない。相談先が分からない
・売り出された山林が広大だと価格も高く管理も難しくなる
・林道が整備されていないなどアクセスしにくい山林も
・間伐や下草刈り、林道整備など管理が大変
・固定資産税が掛かる場合も

このように障壁は少なくありません。かといって、所有者が分からない山林で野営をするわけにもいきません。レンタリンは、そんな課題解決につなげるサービスとして誕生しました。

森の賃貸アパート


植苗地区の山林の1区画の広さは500平方メートル~2700平方メートル。区画の四隅の樹木にナンバープレートを掲示して、レンタルしている範囲を示しています。事務局側がレンタル開始前に林道や駐車スペースとなる空間を整備し、キャンプがしやすい環境を整えました。
キャンプ好きの田村さん。「友人と山を買おうかと相談してたら、容易ではないことを知り、レンタリンのサービスを考えました」
キャンプ好きの田村さん。「友人と山を買おうかと相談してたら、容易ではないことを知り、レンタリンのサービスを考えました」

貸し出す山林は、市街化調整区域のため建築物の設置や樹木の伐採などの開発行為は原則できません。ただ、枝、倒木、切り株などを薪などに利用することはできます。焚き火は直火禁止。野生動物との不用意な接触を避けるために、食べ物やごみを置きっぱなしにしないなど利用規則でも自然と調和した行動を求めています。

田村さんは「森林の共同所有という感覚です。賃貸アパートでご近所さんの迷惑にならないよう生活するイメージですね」と話します。レンタル利用者同士だけではなく、近隣の土地所有者や住民の方に迷惑を掛けないよう心掛けることも重要で、利用規約には「本サービスは利用者の皆様による高度なモラルとマナーによって健全な運営が行われることを前提としております」と記されています。

植苗の山林。快適に過ごすためには賃貸する人同士の心遣いが大切です
植苗の山林。快適に過ごすためには賃貸する人同士の心遣いが大切です

キャンプ場との大きな違いは、上下水道や電気が整備されていない点です。そのため、簡易トイレを2カ所に設置。飲食用の水は利用者が持ち込む必要があります。

年間10万円は高い?安い?


気になるのは料金です。1区画は年間レンタル料が10万5600円(税込み)。月額だと8800円です。

今年1月から13組を対象にモニター利用を始めましたが、そのうちの一人で日高管内新ひだか町の会社員、高橋朋美さんは「キャンプ人気でキャンプ場の料金が高くなっているケースもあるので、予約なしでいつでも好きな時に山を使えるのなら高くは感じないです」と話します。4月からの賃貸契約も結びました。

薪ストーブを持ち込んで冬も植苗に通った高橋さん夫妻
薪ストーブを持ち込んで冬も植苗に通った高橋さん夫妻

高橋さんは夫と2人で年間40回ほどキャンプに出掛けるそうです。野営への関心も高まっている中でレンタリンを知って申し込みました。モニター開始後は毎週のように車を1時間余り走らせて植苗に通っています。「不便さも楽しみの一つ」。水は飲食料用として2リットルのペットボトル3~4本を持ち込んで1泊2日過ごします。「食器もその場で拭いて、帰ってから洗います」。ハンモックを周辺の樹木に吊り下げてゆったりと過ごしたり、雪が解けたら倒木を使ってテーブルなどを作ったりしたいそうです。

地主とキャンプ好きの課題解決


レンタリンは全道、そして全国にサービスを広げることを視野に入れています。最初のレンタル場所は札幌近郊やキャンプのしやすい平坦な土地、公道からのアクセスのしやすさなどを条件に探したところ、苫小牧市内の不動産業者が所有する土地に行き着いたそうです。所有者から土地を借りて、事業を展開し、各区画の利用者の賃貸料の一部を土地所有者に分配します。遊休不動産として抱えていた土地を有効活用できる仕組み。レンタリン事務局の田村さんは「地主さん側とキャンプ愛好者の双方の課題解決につながります」と強調します。
レンラリン公式サイトより
レンラリン公式サイトより

現在、道内各地の土地所有者から問い合わせがあるそうです。立地によって利用者をどれだけ確保できるかなど見極めが課題となっていきます。

田村さんは「所有地を有効活用できずに悩んでいる人も少なくないと思います。山林を貸し出し、キャンプをする人が出入りすることで不法投棄を防げるなどさまざまな効果が期待できます」と話しています。

レンタリンの問い合わせは、公式ホームページから。

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